未来~米と葡萄の実りの頃に
「米百俵」(山本有三)新潮文庫

※本記事は
2014年10月19日付けで
Yahoo!ブログに投稿した記事を
一部修正したものです。
本書をもとに私が作った脚本で
演劇を創り上げた中学校3年生に
思いを寄せて書いたものです。
約1ヶ月半の準備期間を経て、
学校祭の演劇が完成しました。
中学校3年生15人による演劇です。
昨日の前日祭での校内発表では、
子どもたちは
演じきった満足感でいっぱいでした。
演技よりも前に、
まず「伝える」ことが大切という
私の考えをしっかり理解し、
実行し、滑舌よく、声の響き渡る
素晴らしい舞台を
創り上げてくれました。
指導者冥利に尽きる一日を
体験できました。
演劇に取り組んでくれた3年生に
感謝の気持ちでいっぱいです。
さすが我が校の3年生、
どこに出しても恥ずかしくない、
立派な子どもたちです。
今日の一般公開でも、
さわやかな演技を
見せてくれるはずです。
さて、今年度の演劇のタイトルは
「未来~米と葡萄の実りの頃に」でした。
舞台は「現代」と「明治3年」の
二部構成です。
創立10周年を迎える、ある中学校。
中学3年の問題児4人は
学校をサボり、
近くの葡萄園で収穫作業を手伝う。
農園主の老夫婦は子どもたちに
「学問の大切さ」をとき、
一冊の歴史書を手渡す。
そこには明治3年、
この地に初めての学校ができる
いきさつが書かれてあった。
明治3年のある藩では、
凶作と戦乱のため、
藩士は困窮しきっていた。
隣藩から送られた米百俵を巡って
対立する藩士と国家老。
学問を志す藩士の子どもたちが、
周囲の大人たちを動かす。
現代と明治が交互に演じられ、
終末では、明治の先人たちの想いが
現代の子どもたちの一日の体験と
交錯する。
大人も子どもも「学ぶことの大切さ」に
気が付いてゆく。…という物語です。
うまく説明できませんが。
長岡藩での出来事を、
東北の架空の藩に置き換えました。
「学ぶことこそが
自分の未来を切り拓く
唯一の方法である」という、
本作品の主題、
そして私の脚本のテーマ
(それは私が常日頃
考えていることなのですが)が、
子どもたちにしっかり
伝わってくれていることを
願っています。
地球上には
学びたくても学ぶ手段のない
子どもたちがたくさんいます。
先頃ノーベル平和賞を受賞した
マララさんのように、
命をかけて学ぼうとしている
十代の少女も
世界にはまだまだたくさんいるのです。
その一方で、私たちの国では、
いつの頃からか学ぶことが
「カッコ悪いこと」のように
とらえられるようになりました。
十代ですでに学ぶ意欲を
喪失している中学生高校生の
何と多いことか。
いや、
目の前の子どもたちを信じましょう。
日本はいつでも、教育の力で
幾たびもの壊滅的な状況を
脱してきたのですから。
「学問の大切さ」を
うったえるようなテーマが
時代遅れとなるような日が
いつか来ることを、
大人の一人として願うばかりです。
(2018.9.14)
