Xデー、その日のために、ぜひ一読を
「富士山噴火」(鎌田浩毅)講談社ブルーバックス
※本記事は2014年9月29日付けで
他のブログに投稿した記事を
リライトしたものです。
2014年9月27日、
長野・岐阜両県にまたがる
御嶽山(3067m)が噴火しました。
この噴火により、火口付近にいた
登山者58名が死亡しました。
結果として日本における
戦後最悪の火山災害となりました。
この噴火がいかに突然起きたか、
ということを端的に
表している事実だと思います。
日本は地震列島であると同時に、
世界有数の火山国であることを
改めて思い知らされます。
さて、
今回取り上げる本書は「富士山噴火」。
さらに不安を煽ろうというつもりは
毛頭ありません。
火山災害が恐ろしいものであると同時に、
近い将来
起こりうるものであるということ、
そしてそれらは日頃から
必要な対策を講じることにより、
被害を0には出来ないが、
小さくすることは
出来るということの2つが、
豊富な事例やデータをもとに
わかりやすく解説されている
一冊だからです。
第1章は「火山灰」。
以下、「溶岩流」「噴石と火山弾」
「火砕流と火砕サージ」
「岩なだれとブラスト」「泥流」と、
各章ごとに、
起こりうる火山災害について、
詳細に記述されています。
「火山灰」一つとっても、
家屋の倒壊、交通網の切断、
電子機器や
コンピュータ等通信網の破断、
政治経済への影響、
人体への被害など、
これまでの事例をもとに、
細密なシミュレーションを
展開しています。
おそらく、火山災害について
何の知見も持たない方が読むと、
「こんなに多くの被害が出るのか!」と
驚かれることでしょう。
富士山噴火対策は、
空想でも小説でもなく、もはや
将来起こりうる「事実」となっています。
ネット上でも
富士山については防災マップ等、
情報が得られるようになってきてます。
しかし、日本列島上には、
富士山以外にまだ数にして
100以上の活火山がひしめいています。
東海・東南海・南海連動大地震を
想定している最中に
東日本大地震が起きたように、
今また富士山噴火を
警戒している中で起きた御嶽山噴火。
しかも、
富士山と御嶽山は直線距離にして
100km程度しか離れていないはずです。
我々日本人は、
「地震と火山の列島の上に
家を建てて生活している」ということを
忘れないようにしなければなりません。
日頃から正確な知識を蓄え、
起こりうることを
現実のものとして受け止め、
十分すぎるほどの対策を
講じていく必要があります。
地震にしても、火山にしても、
その他多くの災害にしても、
いつくるかわからない「Xデー」。
備えあれば憂いなし。
その日のために、ぜひ一読を。
(2018.11.6)