「医療のこと、もっと知ってほしい」(山岡淳一郎)②

なぜ医師は大都会に集中するのか?

「医療のこと、もっと知ってほしい」
 (山岡淳一郎)岩波ジュニア新書

前回取り上げた本書、
第3章には医師不足と
医師養成課程の問題点が
指摘されています。
私は特にこの部分が気になりました。

医師不足といっても、
不足しているのは地方なのです。
大都市では十分に
医師は確保できているのです。
つまり、医師不足というよりは
医師の配置の地域格差問題と
いうべきなのでしょう。
ではなぜ医師は大都市に集中するのか?

実は大学医学部へ
入学する学生の多くが
もともと都市部出身者だからです。
医学部はどの大学でもきわめて難関です。
したがって、
都市部の私立中高一貫校等の
高い学力を有する受験生が
全国の大学の医学部へと
押し寄せるのです。
地方の公立高校の受験生では
太刀打ちできない状況があるのです。

私の住む地域を見てもよくわかります。
私の住む県は、小学生中学生の学力は
全国学力状況調査で
毎年トップクラスです。
でも、県南部の高校から
医学部へ進学できる生徒の総数は
毎年10人足らずです。
県全体でも30人いるかどうか
(調べていませんが)。

進学に重点を置いた私立高校もない、
難関校突破を可能にするような
学習塾もない、
高校生はほぼ全員部活動に加入し、
学習時間を確保できていない。
親の収入も決して高くはなく、
6年間の大学生活を支えるだけの
余裕がある家庭は少ない。
こうした地域の特性によって
医学部入学者が少数となり、
ひいては医師不足に
つながっているのではないかと
思うのです。

地方の医師不足を解消するためには、
それぞれの県で
医師を生み出すシステムを
作り上げるべきでしょう。
医学部合格者に一定の割合で
地域出身者枠を設ける。
医師養成に特化した奨学金制度を創設し、
利用者には一定期間地域内の病院への
就職を義務づける等々。
英知を集結させ、問題を
解決していかなくてはなりません。

同時に、親世代、そして教育関係者の
意識改革も必要です。
部活動に過度な期待を寄せるあまり、
勉強一辺倒で部活動に
参加しない・できない生徒は
人間として何かが欠けているような
見方をされることすらあります。

中学校段階から医師を目指して
学習に取り組む子どもを認めてあげる。
それが当たり前になれば
いいと思うのですが、
なかなか難しい現実です。

そういうわけで、子どもたちだけでなく、
大人、特に地方の教育関係者の方々に
読んでいただきたい一冊でもあります。

(2018.11.19)

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