「にげましょう 特別版」(河田惠昭)①

みなさん、しっかりと「にげましょう」。

「にげましょう 特別版」(河田惠昭)共同通信社

毎年恒例の
「日本漢字能力検定」による
「今年の漢字」。
2018年は大方の予想通り
「災」と発表されました。
本当に災害の多い
1年だったと思います。
2月の北陸の「30年豪雪」、
6月の「大阪北部地震」、
7月の「西日本豪雨」、
夏の「災害球の暑さ」、
9月の「北海道地震」、
そして「台風21号」と、
災害のオンパレードでした。

何よりも、そうした災害によって
命を落とした人の
なんと多かったことか。
災害報道に接する度に、
心が痛みました。
災害によって命を落とす人をなくしたい。
誰もがそう思っているはずです。
その願いに応えるための一冊が
本書です。

「災害や事故に出会うまで、
 その怖さがわからず、
 災害や事故が原因でなくなる人や
 健康を害する人が増えています。
 経験してから学ぶのでは
 遅すぎるのです。」

本書の「あとがき」の一文が、
すべてだと思います。
経験する前に学べるよう、
本書は12の災害について、
「にげる」ことの重要性を、
繰り返し繰り返し訴えているのです。

例えば「津波の場合」では、
8回にわたって
「にげましょう」が繰り返されます。
①地震との関連にふれ、
「1分以上も続く長い揺れです。
 地震です。にげましょう。」

②海辺での危険の大きさに関わり、
「海辺で1分以上の
 長い揺れを感じたらにげましょう。」

③緊急性を印象づけるため、
「すぐににげましょう。」
④たかい所への
素早い避難を呼びかけるために、
「一刻も早く、
 駆け上がってにげましょう。」

⑤津波の威力の
大きさを理解させるために、
「家をふくめて、町ごと流されます。
 にげましょう。」

⑥具体的な避難場所を想起させるため、
「10m以上のできるだけ高い場所、
 鉄筋コンクリートのビルの
 3階以上ににげましょう。」

⑦第一波後の油断を避けるため、
「繰り返しやってきます。
 第二波、第三波の方が
 大きい場合があります。
 にげましょう。」

⑧安全を確保するための
時間の目安として、
「高い安全なところに、
 6時間以上過ごせるように
 にげましょう。」

そうです。
命を守るためには、
いち早く避難することに尽きるのです。

残念なことに、
東日本大震災のときでさえ、
住民の40%が
すぐには避難していません。
それが結果的に2万人にも上る
死者数につながってしまったのです。

本書巻末の「編集部から」に
こう書かれています。
「逃げることは生きることなのです」。
いつか来る次の災害では、
しっかりと「逃げ」ましょう。
そしてしっかりと「生き延び」ましょう。

※参考までに内容一覧を。
【地震の場合】
【津波の場合】
【火山噴火の場合】
【高潮の場合】
【竜巻の場合】
【山で有害な虫や大型動物と出合った場合】
【広域豪雨の場合】
【集中豪雨の場合】
【ゲリラ豪雨の場合】
【土砂災害の場合】
【インフルエンザが流行中の場合】
【原子力発電所事故の場合】

(2018.12.18)

Flash AlexanderによるPixabayからの画像

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