「怪人二十面相」(江戸川乱歩)

巨人、北の湖、卵焼き、少年探偵団

「怪人二十面相」(江戸川乱歩)ポプラ社

家出していた長男が
十数年ぶりに帰国した
実業家・羽柴氏のもとに、
ロマノフ王家に伝わる
宝石を奪うという
怪人二十面相からの予告状が届く。
厳重な警戒態勢にもかかわらず
宝石は奪われてしまい、
さらに次男の壮二が誘拐される…。

2015年に乱歩没後50年を迎え、
乱歩再評価の気運が
世間で高まりました。
その折にもう一度
乱歩作品を読み返してみようと
思い立ちました。
どれから再読するかといえば、
もちろん少年探偵シリーズでしょう。
最近、
このシリーズのオマージュ作品が
何点か出版されていますが、
そんなものには脇目を振らず、
王道中の王道、
「怪人二十面相」です。

このシリーズ、
説明は不必要です。
怪人二十面相が美術品を狙って
予告状を出した上で盗みに参上する。
手口は決まって
誰かに変装して懐深く入り込み、
一瞬の隙を突いて奪い取る。
名探偵明智小五郎、
その助手小林少年、
そして少年探偵団が
その裏をかいて大団円を迎える。
すべて同じです。

子どもの頃、
シリーズを読みまくりました。
ポプラ社から出版されていた全46巻。
私と同じ年代の男性であれば、
カバーデザインが
すぐ目に浮かぶと思います。
ワクワク、ドキドキでした。
シリーズを読み進めるたびに、
二十面相は次から次へと
新たなトリックを繰り出してくる。
そしてそれに対抗する
明智探偵と少年探偵団の冒険。
少年探偵団が窮地に陥ると
「くそっ、やらちまった」、
二十面相を出し抜くと
「どうだ、やったぜ!」、
自分が一団員になった気分に
浸りまくりでした。
それは今考えると
ワンパターンなのですが、
当時の少年からすれば、
常に新鮮に感じられたのです。

男の子のが「本を読む」といえば、
少年探偵団しかなかった記憶があります。
ポプラ社のシリーズから
読書に入った子どもが
かなりいたはずです。
野球であれば巨人、
相撲であれば北の湖
(大鵬はちょっとの差で引退した後)、
弁当のおかずであれば卵焼き、
読書であれば少年探偵団。
私の少年時代には、
このように夢中になれる
存在感の大きなものが、
世の中にたくさんあったのです。

探偵小説なんて
単なる子ども騙しだ、などと
自分に言い訳するのはもうやめます。
乱歩が大好きです。
ポプラ社のシリーズ全46巻
(復刻版ですが)、
書斎の書棚に揃っています。
光文社文庫の全集全30巻も揃えました。
乱歩の世界を
存分に楽しみたいと思います。

※光文社文庫の全集もお薦めです。
 こちらは細部が微妙に異なります。

(2019.1.5)

【青空文庫】
「怪人二十面相」(江戸川乱歩)

※多くの出版社から出ています。

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