「子どもにかかわる仕事」(汐見稔幸)

子どもにかかわる仕事はこんなにあったのか!

「子どもにかかわる仕事」
 (汐見稔幸)岩波ジュニア新書

子どもにかかわる仕事は
こんなにあったのか!
本書の執筆者それぞれの職業は、
助産師、小児科医、保育士、
小学校教員(2名)、中学校教員、
学童クラブ指導員、養護教諭、
スクールソーシャルワーカー、
スクールカウンセラー、
フリースクール主宰者、
家庭裁判所調査官、弁護士と、計13人。
それぞれの立場で、
子どもたちとの真剣な関わりについて
述べられています。

安定しない収入の中で
スクールソーシャルワーカーの
仕事を続けている山下さん。
不登校の子どもたちに
親身になって接している
フリースクール主宰の佐藤さん。
彼らの仕事は
もっと広く社会に認知され、
職業として成り立つように
学校教育や社会教育に
組み込まれるべきものではないかと
考えます。

「先生には関係ねーだろ」
「消えていいよ、帰っていいよ」と、
小学生から辛らつな言葉を受けても、
しっかりとその子を受け止めている
学童クラブ指導員の片山さん。
さまざまな非行少年と関わり、
子どもたちの人権を
必死に守っている弁護士の坪井さん。
幸いにも私の地域では、
20年前に比べ、
目立った少年非行が激減しています。
心の荒んだ子どもの数も
少なくなりました。
しかし、依然として日本では
救われない子どもたちが
いるのでしょう。

本書を執筆された
13人の方々の情熱に
敬意を表したいと思います。
子どもにかかわる仕事に
就いている一人として、
深い感銘を受けました。

さて、子どもたちの立場から見たとき、
本書は次の2つの意味を持つと
考えます。

一つは
「世の中には君たちのことを
真剣に考えてくれる大人が 
まだまだたくさんいるんだよ」と
勇気づけてくれる存在としてです。
君のまわりには
手をさしのべてくれる大人が
こんなにもいるのだよ、と
諭してくれるはずです。
心に悩みや不安を
抱えている子どもたちには
恰好の助言者となることでしょう。

もう一つは
「世の中の大人たちは
このように誇りを持って
職業人として生きているんだよ」と
語りかけてくれる道しるべとしてです。
進路や生き方に
迷っている子どもたちには、
「働くことはどういうことなのか」を
指し示してくれる一冊となるでしょう。

思春期に迷い疲れている中学生に、
そして進路選択で悩んでいる中学生に、
ぜひお薦めしたい一冊です。

(2019.4.18)

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