「事業」(安部公房)
道徳や倫理、感受性の一切が欠落している世界 「事業」(安部公房)(「壁」)新潮文庫 不潔……? とんでもない。近代的設備のもとで、高温加熱の過程を経て製造された鼠肉ソーセージに、いかなるバクテリヤが留りうるというのか。ま...
道徳や倫理、感受性の一切が欠落している世界 「事業」(安部公房)(「壁」)新潮文庫 不潔……? とんでもない。近代的設備のもとで、高温加熱の過程を経て製造された鼠肉ソーセージに、いかなるバクテリヤが留りうるというのか。ま...
最後にやはり「わからなく」なるのです 「鉛の卵」(安部公房) (「たそがれゆく未来」)ちくま文庫 何らかの事情によって 作動しなかった「冬眠器」。 100年後に目覚めるはずだった男は 実に80万年後、 眠りからよみがえる...
不可思議なカタチをした生きものだらけです 「古生物たちのふしぎな世界」 (土屋健)講談社ブルーバックス 古生代という時代は、実にダイナミックであり、ドラマチックです。この時代には生態系の覇権をめぐる動物たちの栄枯盛衰がと...
抱腹絶倒・破顔大笑・失笑噴飯ものの面白さ 「リアルサイズ古生物図鑑 古生代編」(土屋健)技術評論社 「さあさあ、見ていってよ。 今日は、 アノマロカリスが入ってるよ。 ぷりっぷりの触手は 焼いてオイシ、 胴体は捌いて酢漬...
イイダ姫の告白は、まさに明治の価値観の混迷 「文づかひ」(森鴎外) (「森鴎外全集Ⅰ」)ちくま文庫 ミステリアスかつ ロマンチックな雰囲気を 裏切るかのような イイダ姫の告白とは 一体何だったのか? 要約すると、 以下の...
終末に向けて盛り上がるミステリアスとロマンチック 「文づかひ」(森鴎外) (「森鴎外全集Ⅰ」)ちくま文庫 ドイツに洋行した 「われ」(=小林大尉)は、 デウベン城のビユロオ伯爵の 娘・イイダ姫と知り合う。 彼女は友人・メ...
「狂ったふり」のマリイ・「狂ってしまった」国王 「うたかたの記」(森鴎外) (「森鴎外全集Ⅰ」)ちくま文庫 ドイツ・ミュンヘンに留学中の 日本画学生・巨勢は、 以前ドレスデンで一目惚れをした マリイと再会する。 マリイは...
悲劇を決定的にしたのは友人・相沢の存在 「舞姫」(森鴎外) (「森鴎外全集1」)ちくま文庫 本作品を取り上げた前回、前々回で、 主人公・太田豊太郎が 封建人から自我に目覚めた近代人へと 変化したことを書きました。 そのこ...
エリスと出会う前に豊太郎は悲劇の渦中にいた 「舞姫」(森鴎外) (「森鴎外全集1」)ちくま文庫 先日は「舞姫」の主人公・太田豊太郎が 封建人としてドイツ留学に 臨んでいたことを取り上げました。 彼がそのまま 封建人であり...
冒頭で丁寧に描かれている封建人・太田豊太郎 「舞姫」(森鴎外) (「森鴎外全集1」)ちくま文庫 ベルリン留学中の豊太郎は、 不幸な少女・エリスと出会い、 恋に陥る。 同郷人がそれを讒訴したために、 豊太郎は官費支給を打ち...