「続ざんねんないきもの事典」(今泉忠明)

瞬く間にベストセラーになっていました

「続ざんねんないきもの事典」
(今泉忠明監修)高橋書店

「ざんねんな生きもの事典」について、
2017年2月に当ブログの前身
Yahoo!ブログで取り上げました。
マニアックな層に人気が出るのではと
予想していたら、なんと瞬く間に
ベストセラーになっていました。
本書のみならず
第3弾「続々」も出版された上、
NHK-Eテレでアニメ化、
そして今月には第4弾「もっと」も
出版予定なのだとか。
いやはやものすごい人気です。

それにしても、
第1作だけでも内容が豊富だったのに、
まだまだ動物たちの世界は
こんなにも「ざんねんな」一面で
溢れていたのかと、驚きました。

「ゴリラのあいさつはゲップ」
「カバはうんこを道しるべにする」
「キリンは長い舌で鼻くそをほじくる」
小見出しを見るだけで
楽しくなってきます。

今回注目したのは、
動物たちに対する
人間の間違った見方が
多数指摘されていることです。
例えば
「ヤギは紙を出されると
つい食べてしまいおなかをこわす」。
今の紙は化学繊維やインクが
使われているので消化が悪く、
おなかをこわすとのこと。
なるほど。
「カは血なんか吸いたくない」。
血を吸うのは
産卵前の雌だけなのだそうです。
普段は花の蜜や樹液を吸うのであって、
決して吸血鬼ではないのです。
「オシドリの夫婦は
じつは毎年相手が違う」。
オシドリは交尾が済んだら
さっさと相手を変えるのだそうです。
おしどり夫婦という言葉がありますが、
自然界のオシドリは
かなりの浮気者なのだったとは。

そして本書も第1章が見事です。
進化の考え方を
図解入りでシンプルにまとめています。
進化は進歩とは違うのです。

「ウサギの耳はなぜ長いの?」
「それはまわりの音をよく聞いて
敵に襲われないようにするためよ」
というようなやりとりを
私たちは幼児期に
経験してきたのではないでしょうか。
そのため進化について
一般的には誤解が生じていると
考えられます。
進化とは、ある生物の身体が
優れた性質を身に付けるように
なることではないのです。
「たまたまそうなった」のが
進化の本質であり、
それゆえ「進化」も「退化」も
区別できないものなのです。
したがって人間が
進化の頂点にあるわけではなく、
現在生存している生物すべてが
進化の最前線にあるのです。
冒頭のわずか10頁が本書の肝であり、
子ども向けと侮るわけには
いかない理由でもあります。

ぜひ大人のみなさんも
手にしてみて下さい。
ベストセラーの理由がわかります。

(2019.6.1)

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