こんな図書館がほしい
「沸騰!図書館」
(樋渡啓祐)角川oneテーマ21
はじめに一言。
こんな図書館がほしい!
本書は市立図書館の管理を
民間業者のTSUTAYAに全面委託し、
これまでにない
画期的な図書館につくりかえた
(前)武雄市長・樋渡啓祐氏の、
理想実現までの過程を
氏自らが綴った一冊です。
まるで実況中継を見ているような
爽快感がありました。
私も現在の
公立図書館のシステムに対して
少なからず疑問を感じている一人です。
以下は私の地域の市立図書館に対する
私自身の不満です。
問題点①:開館時間が短い。
最近、私の地域の市立図書館も
閉館時間が19:00まで延びましたが、
以前は17:00。
仕事を持っている人は利用できません。
武雄市図書館は9:00~21:00。
これならいろいろな人が利用できます。
問題点②:駐車スペースが少ない。
東北の片田舎なものですから、
車社会です。どこに行くにも車です。
でも、市立図書館の駐車スペースは4台!
いつ行っても駐車スペースは
当然埋まっています。
武雄市図書館は90台。
これでもまだ足りないようですが、
周辺部に市の駐車場があり、
十分不便はないとのこと。
問題点③:閲覧スペースが小さい。
市立図書館のテーブルは
6人掛け×7の42人分。
駐車スペースといい、机脚数といい、
利用者が増えないように
しているかのようです。
武雄市図書館は279席。
HPの館内マップストリートビューを
見ても、十分なスペースが
確保されていることがわかります。
いやあ、全然違います。
では、武雄市は大きな市なのか?
調べてみると
武雄市人口5万人(2010年)、
私の住む市は人口9万3千人(2016年)。
えっ、私の住む市の半分足らず!
規模もさることながら、
新刊本の販売コーナー
(つまりはTSUTAYA)あり、
スターバックスありと、
既存の図書館を超えて、
一大エンターティンメントスペースと
なっているのです。
こんな画期的な図書館が
すんなり出来るはずがありません。
さまざまな反対運動も起きたようです。
その多くは、
この画期的図書館実現を考えたとき、
私には
取るに足らないことのように思えます。
図書館とは何か?誰のための図書館か?
原点に立ち戻り、
あるべき姿を模索した結果なのです。
最後に一言。
こんな図書館がほしい!!!
※本書は当事者である樋渡氏が
執筆していることに
注意する必要はあります。
当然内容は一方的になるからです。
第三者が公正で綿密な
取材の上に書いた本とは違います。
新書本は出版社によって、
そうしたことに対する
姿勢が違います。
書いてある内容を
鵜呑みするのではなく、
必要なことを調べながら
読む必要のある本だと思います。
(2019.6.8)