「宝島」(スティーブンスン)②

忘れることは悪いことじゃない!

「宝島」
(スティーブンスン/村上博基訳)
 光文社古典新訳文庫

※本記事は、2014年に
 他のブログに書いた記事を
 リライトしたものです。

ブログを書いている理由は何か?
それは本を読んでも、
その内容を次から次へと
忘れてしまうからです。
もしや認知症?
それなら書き留めておけば
忘れないだろう。
自身の読書備忘録的な発想から、
当ブログはスタートしています。

特に海外の冒険ものは、
忘れるというよりも、
時間が経つと頭の中で記憶が交錯し、
どれがどれだか
わからなくなってしまうのです。
私の頭の中では、
本書「宝島」と「ロビンソン漂流記」、
「十五少年漂流記」、「蝿の王」が
ごちゃ混ぜとなることがしばしばです。
本書は3年前(2011年)にも
読みましたが、
やはり忘れかけているので
読み返してみました(2014年)。

やはり面白いです。
本書の面白さは次の3点と考えています。

一点目は主人公・ジムの素晴らしさです。
彼は機転の利く少年です。
彼が行動に移したことから、
彼に降りかかる災難のすべてが
良い方向に向かっています。
彼の行動力に大きな拍手です。

二点目は胸躍るストーリー展開です。
ジムが宝の地図を手に入れる。
宝島への航海に出かける。
仲間とともに悪者と戦う。
仲間を抜けだし、
たった一人で船を奪還する。
悪者のシルバーとの信義を大切にし、
次のチャンスを冷静に待つ。
そして最後の大団円
(こんな言い方、今はしないか)を
迎えるのです。

三点目は登場人物の
キャラ立ちの見事さです。
医師・リヴジーの冷静な人格者ぶりが
物語を引き締めています。
スモレット船長の
毅然とした様子が伝わってきて、
顔かたちまで想像できそうです。
大地主・トリローニの
人の良さが両者を引き立てます。
そしてなんといっても
悪役でありながらどこか憎めない、
剛柔両面の顔を見せ、
信義を守る悪党・シルヴァー。
まさに血湧き肉躍る、
古典的海洋アドヴェンチャーです。
これぞ日本文学にはない
海外少年冒険譚なのです。

ああ面白かった。
そうか、内容を忘れたから
この面白さを味わうことができたのか!
忘れることは悪いことではないのか!
3年後には内容を
忘れてしまうだろうから、
また感動を味わえる!
あっ、もう記事を書いてしまった!

中学校1年生に薦めたい一冊です。
そしてまだ読んでいない大人のあなた、
内容をしっかり忘れた
中高年のあなたにお薦めです。

※そしてそれから5年後、
 やはり筋書きをすっかり忘れて再読し、
 本作品の素晴らしさを
 改めて堪能することができました。
 忘れることはやはり素晴らしい!?

(2019.6.19)

Sathish kumar PeriyasamyによるPixabayからの画像

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