「鼻」(芥川龍之介)②
ゴーゴリの「鼻」と芥川の「鼻」 「鼻」(芥川龍之介) (「羅生門・鼻」)新潮文庫 内供が鼻を持て余した理由は 二つあった。 一つは長さによる不便だったが、 もう一つは この鼻によって自尊心が 傷つけられることにあった。 ...
ゴーゴリの「鼻」と芥川の「鼻」 「鼻」(芥川龍之介) (「羅生門・鼻」)新潮文庫 内供が鼻を持て余した理由は 二つあった。 一つは長さによる不便だったが、 もう一つは この鼻によって自尊心が 傷つけられることにあった。 ...
そこに「傍観者の利己主義」を見いだすのです 「鼻」(芥川龍之介) (「羅生門・鼻」)新潮文庫 五六寸もの長さの 鼻を持つ禅智内供は、 周囲には気にしないふりを しつつも苦悩していた。 自尊心が傷つけられて きたからである...
卑小な人物の滑稽なふるまい 「幌馬車」(ゴーゴリ/横田瑞穂訳) (「百年文庫088 逃」)ポプラ社 Б町に騎兵連隊が駐屯し始めて以来、町は賑やかになる。貴族・チェルトクーツキは自慢話の末、翌日の昼、将軍と将校たちを午餐会...
中勘助は一流の教育評論家だ 「銀の匙」(中勘助)小学館文庫 日清戦争が始まり、 周囲は戦争の色が濃くなり 殺伐としてきた。 「私」は先生や級友、兄の 無教養に内心辟易としながら、 一人絵を描いたり 唱歌を歌うことを好んだ...
中勘助は現代っ子に近かった!? 「銀の匙」(中勘助)小学館文庫 病弱だった「私」は、 空気の良い山の手に移り住む。 友達をつくろうともしない 内気な「私」をみかねた伯母は、 一緒に遊んでくれそうな 子どもを見つけ、 何度...
湯本香樹実の文と酒井駒子の絵が織りなす極上の絵本 「くまとやまねこ」 (湯本香樹実・酒井駒子) 河出書房新社 なかよしのことりを失ったくまは、小さな木の箱をつくり、ことりを入れた。そして自分の家に閉じこもるようになった...
新しい湯本香樹実を味わってください 「夜の木の下で」 (湯本香樹実)新潮文庫 弟が事故に遭い、 意識不明のまま入院した。 「私」は弟がその日、 帰り道の公園で 缶酎ハイを飲んでいたことを知る。 その公園のベンチに 腰掛け...
味わうべきは「三者三様の女の生き方」 「菜穂子・楡の家」(堀辰雄)新潮文庫 三村夫人は娘・菜穂子との関係に 悩んでいたが、久しぶりに会った おようのすがたから、自分の考えが 変わっていくのを感じる。 もしかしたら不仲な親...
三村夫人とも菜穂子とも違う、一人の女性の生き方 「ふるさとびと」(堀辰雄) (「菜穂子・楡の家」)新潮文庫 牡丹屋の娘おようは 村のホテルの長男に嫁いだが、 身籠もると実家に帰り、 それきり離別する。 おようは以前とは打...