つい口に出したくなる詩集
「まど・みちお詩集」
(まど・みちお)ハルキ文庫

正直に言います。
私はまど・みちおと阪田寛夫の区別が
数年前までついていませんでした。
「まど・みちお?ああ、
どうしておなかがへるのかな、だろ」
「阪田寛夫?それって、ぞうさんだろ」
こんな調子です。
日本の誇る偉大な二詩人に対して
申し訳ない気持ちでいっぱいです。
さて、阪田寛夫については依然、
当ブログで取り上げました。
阪田寛夫詩集は
「童心に返ることが出来る詩集」と
私はとらえています。
一方、本書、まど・みちお詩集は、
「つい口に出したくなる詩集」であると、
私は感じています。
ぞうさん
ぞうさん
おはなが ながいのね
そうよ
かあさんも ながいのよ
(ぞうさん)
これはもちろん、
唱歌になっていますから、
口に出したくなるのも当然です。
おとうさんが かえってくると
ポチが よろこぶ
ぼくが よろこぶ
おかあさんが よろこぶ
そいで
いちばん よろこぶのは
おとうさん
ビールも
そばで よろこんでる
(おとうさん)
いいですね。こんな詩。
毎日口に出してもいいくらいです。
家族の前では出せませんけど。
公園に だれも いないとき
ぶらんこは
ひとり しょんぼりと
たたずんでいるように 見える
ぶらんこは
うたっているのかもしれない
地球のむねに だかれたままで…
いや ぶらんこごと
宇宙にだかれて
地球の方が…
生きていない物たちの 胸にだけ
しみとおる
えいえんの うたを
こえの かぎり (ぶらんこ)
こうした詩を、声に出して読むと、
心が明るくなります。
ナイフのように鋭い詩も
もちろん好きなのですが、
明るい詩、優しい詩も大好きです。
ぜひ、中学校1年生の子どもたちに
薦めたい詩集です。
2014年2月に104歳で永眠された
偉大なる詩人に敬意を表して。
(2019.8.4)
