覚悟を持っているのか?と自分が問いかけられている
「ドキュメント宇宙飛行士選抜試験」
(大鐘良一・小原健右)光文社新書
面白かった!読んで興奮した!
これほど生き方について
考えさせられた本は
ありませんでした。
10年ぶりに行われた
2008年のJAXA宇宙飛行士選抜試験。
本来非公開であるべき選抜試験を
密着取材したNHKスペシャル
「宇宙飛行士はこうして生まれた」。
本書はその番組の内容を
活字化したものです。
第1章
選び抜かれた10人の
“プロフェッショナル”たち
宇宙飛行士を目指す人たちとは
こんなにすごいのか!
ファイナリスト10名の顔ぶれは、
東大卒研究員、
自衛隊パイロット、
東大大学院卒エンジニア、
女性医学博士・産婦人科医、
民間航空会社パイロット(2名)、
海上保安庁パイロット、
JAXA職員、
海上自衛隊所属外科医師、
東工大大学院卒エンジニア。
どこから見ても超一流のキャリアです。
ここにあげた職業に
就くことでさえ本来は大変です。
誰でもなれるというものでは
ありません。
地位も収入も
驚くほど高いでしょうに。
それらを捨てて宇宙を夢見る。
それほどまでに彼等は
宇宙への強いあこがれを
持っているのです。
第2章
“極限のストレス”に耐える力
第3章
“危機”を乗り越える力
その10人をふるい落とす試験の、
その過酷なこと。
密閉空間における1週間の
集団生活中の行動と能力を
観察する試験の経緯の記録です。
「リーダーシップと
フォロワーシップの関係」や、
「折れない心」など、
宇宙どころか実社会で重要となる
資質について描かれています。
第4章
NASAで試される”覚悟”
第5章
宇宙飛行士はこうして選ばれた
でも最後はここに行き着くのです。
「覚悟」。
知識、知恵、体力、経験、人柄、熱意等、
人間力のすべてはすでに試されつくし、
その上で最後に試されるのが
「覚悟」なのです。
「君は宇宙飛行士として
やっていく覚悟が本当にあるのか」
考えてみればすべての職業名と
置き換えが可能なのです。
その道でプロフェッショナルとして
生きていくだけの
「覚悟」を持っているのか?と
自分が問いかけられているような
錯覚を覚えました。
本書は大人にとっては
超一級の自己啓発本であると同時に、
子どもたちにとっては
進路選択の究極の指南書と
なり得る一冊です。
中学校2・3年生に
薦めたいと思います。
(2019.8.21)