登場する人形を調べてみました。
「りかさん」(梨木香歩)新潮文庫
前回紹介した「りかさん」。
今回再読(これで4度目)するにあたり、
登場する人形をある程度
調べてみました。
男にとって人形など苦手分野。
人形の種類をいろいろあげられても、
具体的なイメージを
つかめなかったからです。
まずは主人公「りかさん」の市松人形。
写真で見るととても綺麗です。
市松人形とは、
日本人形の代表であり、
着せ替え人形です。
かつては裸の状態で売られ、
購入者が衣装を自前で作成するのが
一般的だったようですが、
現在は衣装とセットで
販売されることが多いのだとか。
顔立ちが歌舞伎役者・佐野川市松に
似ていたためであるとか、
市松の名前の子どもが
当時多かったからであるとか、
名前の由来は諸説あるようです。
それに対し、加茂人形とは、
着せ替えできない人形のことでした。
木彫の人形の上に
各種の布地をはり付けて
つくるものです。
布地の端はあらかじめ
素地に彫っておいた溝の中に
押し込むのだそうです。
やや地味な印象を受けました。
また、這子(はうこ)とは、
布を縫い合わせ、中に綿を入れ、
赤ん坊のはう姿にかたどった
人形なのだそうです。
現在のぬいぐるみに
近いもののようです。
紙雛は、その名のとおり
紙で作った雛人形です。
お祓いの形代(身代わり人形)から
起こり、流し雛に用いられましたが、
やがて玩具となりました。
芥子人形は、きわめて小さい
木彫りの衣装人形です。
女児の玩具やひな祭りの飾りとして
江戸時代に流行したのだそうです。
享保雛は、江戸享保年間に
おもにつくられた雛人形であり、
45cm~60cmくらいに
大型化していったようです。
読んでいて
はじめはよくわからなかったのが
汐汲人形です。
歌舞伎舞踊「汐汲」の姿をした
女の人形なのだそうです。
ではさらに歌舞伎舞踊の「汐汲」とは?
便利な世の中になりました。
YouTubeで検索すると
たくさん出てきます。
なるほど、こういうものだったのか。
著作権の関係で
写真を紹介できないのが残念ですが、
人形にもこれだけの
広い世界があったとは驚きでした。
こうした予備知識のおかげで、
今回の本書の再読は、
頭の中に映像をイメージしながら
読み進めることができました。
物語を味わうというのは、
こういうことなのでしょう。
ただ読み進めるだけでなく、
資料を傍らに、
あるいはタブレットを片手に、
調べながら読むことも
大切だと思います。
生涯学習の一つの方法として
いかがでしょうか。
※参考までに登場ページ(新潮文庫版)
・市松人形:p.9
・加茂人形:p.39
・這子:p.39
・紙雛:p.39
・芥子人形:p.45
・享保雛:p.49
・汐汲人形:p.63
(2020.1.11)