中学校1年生に薦めたい本vol.1 4月

本の海へ出かけよう~現代作家の描く友達たち

大きな希望と少しの不安を抱えながら
春に入学するピカピカの中学校1年生。
冒険のはじまりに
仲間との出会いが必要であるように、
読書も友達を見つけることが
第一歩となります。
本の世界で子どもたちに
友達を見つけさせたいのです。
それがこのあと続く
読書人生の礎となるはずです。
等身大の、
子どもたちと同世代の主人公が
輝いている八冊をセレクトしました。

その1
「ごきげんな裏階段」(佐藤多佳子)

「ごきげんな裏階段」

みつばコーポラスの裏階段には、
不思議な生き物たちが
住んでいた。
タマネギを食べて人の言葉を話す
「タマネギねこ」、
幸福と不幸をもたらす笛を吹く
「笛吹きグモ」、
煙を食べるお化け「モクー」。
子どもたちは
友だちになろうとする…。

本作品の味わいどころ
大人とも意思疎通できるお化け
お化けをきっかけに広がる交流
相互にわかり合えるという確証

その2
「走れ、セナ!」(香坂直)

「走れ、セナ!」

足の速さに自信のあったセナは、
運動会で一ノ瀬に負けてしまう。
彼女はクラブチーム所属で、
全国大会四位の選手だった。
セナは次の競技会で
彼女に追いつくことを目標に
練習を始める。
ところが顧問の産休により
陸上部が解散に…。

本作品の味わいどころ
クラスの人間関係、キーワードは「発見」
吉田家の親子関係、キーワードは「普通」
描かれる陸上競技、キーワードは「希望」

その3
「卵の緒」(瀬尾まいこ)

「卵の緒」

小学生の「僕」は
自分が捨て子かもしれないと
思い続ける。
父親のこともわからず、
「へその緒」もうまく
ごまかされてしまったからだ。
一方、「母さん」は
職場の同僚・朝井さんの話を
繰り返し「僕」に聞かせる。
どうやら気があるらしい…。

本作品の味わいどころ
悩みすぎない純真な「僕」
底抜けに明るい「母さん」
暗くならない「出生物語」

その4
「ミカ!」(伊藤たかみ)

「ミカ!」

ユウスケには、
双子の妹・ミカがいる。
ユウスケは温和しくて優しいが、
ミカは勝ち気で喧嘩っ早い、
性格の違う兄妹。
二人はある日、近所の団地の
誰も住んでいない部屋の
ベランダで、
奇妙な生物を見つけ、
「オトトイ」と名付ける…。

本作品の味わいどころ
複雑な家庭環境で成長するユウスケ
ユウスケ目線で見たミカの成長物語
ミカを成長させた謎の生物オトトイ

その5
「十二歳」(椰月美智子)

「十二歳」

小学校六年生の「私」は、
ポートボールが大好きで
友達もいっぱいいる
楽しい毎日を過ごしていた。
でも、少しずつ
自分の中の何かが
変化していくことに気づく。
頭と身体がちぐはぐで、
何だか自分が自分でないみたいな
気がしてきて…。

その6
「夏の庭」(湯本香樹美)

「夏の庭 The Friends」

「ぼく」と河辺・山下の三人は、
町外れに暮らす
一人のおじいさんを
「観察」し始める。
人の「死」を
見届けたいと思ったからだ。
夏休みに入り、
「ぼく」たち三人の観察は
盛んになるが、
それに反しておじいさんは
日ごとに元気になっていく…。

本作品の味わいどころ
子どもたちを成長させる「冒険」
子どもたちが体験する人の「生」
子どもたちが向き合う人の「死」

その7
「卵と小麦粉それからマドレーヌ」
           (石井睦美)

「卵と小麦粉それからマドレーヌ」

「もう子どもじゃないって
思ったときって、いつだった?」
中学校へ入学したばかりの
「わたし」は、
そう話しかけてきた亜矢と
仲良くなる。
十三歳の誕生日を迎えた日、
ママがパリへ
留学することを知り、
「わたし」は激しく混乱する…。

本作品の味わいどころ
自ら踏み出す「わたし」の姿
成長を支える友だちの存在
子どもから学ぶ大人の成長

その8
「西の魔女が死んだ」(梨木香歩)

「西の魔女が死んだ」

わたしはもう学校へは行かない。
中学進学後、
学校に行くことができなくなった
少女まいは、
片田舎に一人で住む
祖母の家で過ごすことになる。
祖母は魔女の家系に
生まれたのだという。
まいは魔女に憧れるが、
魔女修行の要点は
「何事も自分で決める」
ことだった…。

本作品の味わいどころ
人間がよりよく生きるための処方箋
人が死ぬことへの根源的な問いかけ
美しい日本語が紡ぎ出す美しい情景

さて、この八冊ですが、
主人公が小学生から中学校一年生。
まさに中学校一年生にとっては
等身大の友達です。
読書生活のスタートにふさわしい
八冊だと確信しています。

しかも、
この八冊の著者はすべて現代の作家たち。
最年長・石井睦美で1957年生まれ、
最年少・瀬尾まいこで1974年生まれ。
中学生の親の世代に近い
作家たちなのです。

春になったら子どもたちに
自信を持って読書の楽しさを伝える。
それが大人の役目です。
さあ、その前に大人のあなたが
まずは読んでみませんか。

(2020.1.31)

hyun chun kimによるPixabayからの画像

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