考えるとは、言語化すること
「本の「使い方」」(出口治明)角川新書
読書論について書かれた
新書本を見ると、
ついつい買ってしまいます。
今更自分の読書スタイルを
変えるつもりなどないのですが、
何か参考になる点が一つでもあればと
考えるからです。
本書も勉強になりました。
著者・出口治明氏は実業家であり、
ライフネット生命保険株式会社創業者
(現在は代表取締役会長兼CEO)として
有名です。また
立命館アジア太平洋大学学長でも
あります。
店頭では「全世界史」(新潮文庫)、
「人類5000年史」(ちくま新書)が
並んでいて、注目していました
(歴史学者だと思っていました)。
さて、これまでの人生で
「1万冊を血肉にした」という著者の
読書論とはどのようなものなのか?
実は目新しいことは書かれていません
(読書論の多くがそうなのですが)。
普段本を
あまり読んでいない方に向けて、
「本は読んでおいた方がいいですよ」と
語りかけるような内容です。
そして本を読むことの
効用について書かれてあります。
智=教養と位置づけ、
教養を身につけることの大切さを
訴えているのです。
「新しいアイデアは、
教養を持つ人からのみ、
生まれてくるのではないでしょうか」
私が特におもしろく感じたのは、
第4章4節
「考えるとは、言語化すること」の
部分です。
「自分が感じたこと、
腹落ちしたことは、
言語化して初めて整理できる」
「本から得た情報を
脳に焼き付けておくには、
言語化する必要がある」。
なるほど、その通りです。
本を読んだだけでは
自分の頭の中でしっかりと
定着していない感覚があります。
一度何らかの形で
文章として書き起こしてみたとき、
本を読んで得た知識が
頭の中で既知の事項と繋がり合い、
活用できる状態になると
私は感じています。
「本の感想を人に話したり、
ツイッターやフェイスブックで
発信したり、
ブログに綴るのもいい」。
私が当ブログを発信しているのも、
言語化することにより
本の中身が自分の脳の一部として
昇華していくような
確信があるからです。
なお、氏の読んでいる本は
少なくとも私には高尚すぎて
困ってしまいました。
マルクスやレーニンを
読んでいなかったために
恥ずかしい思いをしたという
氏の学生時代の経験が
記されていましたが、
私などはこれまでの人生で
それらを読んだことのある人に
出会ったことがありません。
「資本論」や「帝国主義」は
これからの課題となりそうです。
(2020.8.18)