「厚物咲」(中山義秀)②
瀬谷老人の見つけた「市井の人としての生き方」 「厚物咲」(中山義秀)(「日本文学100年の名作第3巻」) 新潮文庫 瀬谷が展覧会に出品した片野の菊は、希有の名花として好事家連を驚倒させた。だが、瀬谷は彼の残した美しい菊と...
瀬谷老人の見つけた「市井の人としての生き方」 「厚物咲」(中山義秀)(「日本文学100年の名作第3巻」) 新潮文庫 瀬谷が展覧会に出品した片野の菊は、希有の名花として好事家連を驚倒させた。だが、瀬谷は彼の残した美しい菊と...
全編これ妖しい谷崎大魔術 「魔術師」(谷崎潤一郎)(「人魚の嘆き・魔術師」)中公文庫 初夏の夕べ、「彼の女」に誘われるがまま、「私」は公園へ出かける。物好きな「私」が、夢にも考えたことのない、破天荒な興業物があるというの...
双子ダンサー探偵、軽いノリ 「双生児は踊る」(橫溝正史)(「ペルシャ猫を抱く女」)角川文庫(「横溝正史ミステリ 短篇コレクション③」)柏書房 二人組の強盗殺人犯は、工事中のキャバレーへ逃げ込むものの、なぜか二人はその...
横溝の創作過程を知る上での貴重な資料 「貸しボート十三号(昭和32年原形版)」(横溝正史)(「金田一耕助の帰還」) 光文社文庫 白昼の隅田川に浮かぶ一艘の貸しボートには、血まみれの男女の凄惨な死体が横たわっていた。不思議...
橫溝ファンなら見逃す手はありません。 「汁粉屋の娘」(横溝正史)(「双生児は囁く」)角川文庫 敬太郎は「殺してやっても飽き足りないよ畜生!」と叫ぶ女の声を聞く。見ると二人の女が立っていた。それは汁粉屋の看板娘・お美代とお...
金田一耕助の事件簿052 こんな名作を絶版のままにしておくとは 「貸しボート十三号」(横溝正史)(「貸しボート十三号」)角川文庫 白昼の隅田川に浮かぶ一艘の貸しボートには、血まみれの男女の凄惨な死体が横たわっていた。不思...
日本の生命保険普及拡大の牽引役となったのか? 「生命保険」(黒岩涙香)(「黒岩涙香探偵小説選Ⅰ」)論創社 「生命保険」(黒岩涙香)(「明治探偵冒険小説集1 黒岩涙香集」) ちくま文庫 夏子は交際している画家・堀川から、衝...
何度も言います。面白さこの上なしです。 「幽霊塔」(黒岩涙香)(「明治探偵冒険小説集1 黒岩涙香集」) ちくま文庫 叔父が購入した屋敷は、過去に起きた忌まわしい事件のために「幽霊塔」と呼ばれていた。その屋敷の下検分を命じ...
百二十年前の少年少女になりきって 「弁護美人」(梅の家かほる)(「明治探偵冒険小説集4」)ちくま文庫 雪太郎との結婚を翌日に控えた春枝は、新聞を見て驚く。朋友の光次郎が殺人の疑いで逮捕され、明日公判を迎えるというのだ。実...
片野老人に見る「菊づくり」という芸術と生き方 「厚物咲」(中山義秀)(「日本文学100年の名作第3巻」) 新潮文庫 吝嗇家の片野は菊の栽培について人並み外れた腕を持っていた。若い頃からの友人・瀬谷は、その秘密が気になり、...