「RDG3 レッドデータガール 夏休みの過ごしかた」(荻原規子)

最後まで読むしかないと覚悟を決めた

「RDG3 レッドデータガール
       夏休みの過ごしかた」
(荻原規子)角川文庫

生徒会執行部、そして
日本史研究会のメンバーは、
夏休み、
宗田姉弟の地元、長野戸隠で
合宿をすることになる。
心をときめかす泉水子だが、
合宿が始まると
会長・仄香や玲奈と、真響との
微妙な関係が目立ち出す。
泉水子と深行は…。

人気シリーズRDG第3弾を
ようやく読み終えました。
そろそろこの辺で失礼を…、と
思いながらも
引き返せなくなってしまいました。
最後まで読むしかないと
覚悟を決めた次第です。

【登場人物】
鈴原泉水子

…「姫神」に時々憑依される。
 極度の引っ込み思案。
相楽深行
…泉水子の幼馴染みで山伏の家系。
宗田真響
…泉水子のルームメイト。才色兼備。
 宗田三姉弟の一番上。
宗田真夏
…人より馬に関心を持つ。
 宗田三姉弟の一番下。
宗田真澄
…宗田三姉弟の真ん中。
 6歳で亡くなる。
 真響・真夏に呼び戻されると実体化。
相楽雪政
…深行の父。
 鳳城学園に非常勤講師として勤務。
如月・ジーン・仄香
…現生徒会長。
秋乃川玲奈
…仄香の親友。二年生。
高柳一条
…真澄と戦い敗れるが、
 何かを画策している。
鈴原紫子
…泉水子の母。現在の姫神憑き。

RDG3の読みどころ①
新たな舞台・戸隠

第1作の舞台は和歌山・熊野古道、
第2作は東京郊外鳳城学園、そして
第3作である本作品は長野戸隠。
古来からの霊場で
何も起きぬはずがありません。
今回は宗田真澄が前作以上に登場し、
物語を盛り上げます。

RDG3の読みどころ②
深まる謎、敵と味方は?

その戸隠は
宗田姉弟の実家のある地元です。
生徒会執行部の合宿を
地元で開催する提案をするのは真響。
そこにどんな思惑があるのか。
完全な女子生徒として登場した
前作に比べ、
自分の意志を実行しようとする姿勢が
鮮明になってきました。
それに対する仄香もまた
腹の探り合いを仕掛けてきます。
前作では高柳一条一派と宗田姉弟という
対立構造が明確でしたが、
本作は誰が敵で誰が味方か、
判然としません。
ストーリーの広がりを感じさせます。

RDG3の読みどころ③
覚醒してゆく泉水子

高校進学してわずか3ヶ月しか
経過していないにもかかわらず、
泉水子の性格は
前作とは大きく異なっています。
これまではすべて流されるままに
行動していたのが、
本作では自分の意志での行動が
いくつか現れます。最後には
自ら姫神を呼び出す決断までします。
泉水子の能力が
覚醒しつつあることを予感させます。

と、読みどころは多々あるのですが、
それらはすべて次作以降の
伏線のようにしか感じられません。
大きな事件は
最後に現れるだけなのです。
それすら次に起きる大事件の
前兆にしか過ぎないのでしょう。

「展開の間延び」と
言えなくもないのですが、
次も読んでみたいと思わせる面白さは
本物です。
観念して第4巻を購入します。

(2021.3.1)

Stefan KellerによるPixabayからの画像

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