「デジタルの仕事がしたい」(杉山知之編)

知らない職業がいっぱい

「デジタルの仕事がしたい」
(杉山知之編)岩波ジュニア新書

子どもたちに将来考えている
職業を尋ねると、
何人かはこう答えます。
「コンピュータにかかわる
仕事をしたい」と。
漠然としていますが、
もちろんコンピュータ製造の仕事では
ないことは確かです。
私もそうした仕事を問われれば、
プログラマーと
システムエンジニアぐらいしか
思いつきません。

本書は最先端のデジタル・IT業界の
第一線で活躍している
11人の大人たちの
仕事紹介となっています。
一通りあげてみると、
「モバイルコンテンツプロデユーサー」
「映画監督」
「キャラクターアーティスト」
「コンテンツメディアプロデューサー」
「映像作家」
「クリエイティブディレクター」
「メディアアーティスト」
「Webメディアコンテンツ編集者」
「サウンドプロデューサー・作・編曲家」
「Webプロデューサー」
「モバイル向け情報配信会社経営者」。
初めて見る職業名がいっぱいです。

読んで感じたことは、
職業とは見つけるだけではなく、
つくり出すものであるということ。
執筆している何人かは、
人があまり取り組んでいない分野を
先駆的に開拓し、成功しています。

米デューク大学の研究者
キャシー・デビッドソン氏の予測
「今年、小学校に入学した子どもたちの
65%は、大学卒業時に、今は
存在していない職業に就くだろう」は
もはや現実のものといえそうです。

もう一つは、
職業とは与えられるものではなく、
つかみ取るものであるということ。
特にこの分野は
その傾向が強いのでしょう。
どんな職業でも
そうなのだと思いますが、
やはり行動力が大切なのです。
本書には、積極的に行動し、
チャンスをつかんだ事例が満載です。

子どもたちは、
その技術を教えてくれる
専門学校に進学すれば、
無条件でそうした職業に就けるものと
勘違いしていることが多いのです。
その度ごとに、
そんな簡単なものではないことを
指導しているのですが、
ことコンピュータ関連の職業を
希望する子どもに限って、
現実を認識せず、
仮想世界ばかり見つめたがります。

世の中が急激な速度で変化している中、
私たち大人の職業観も
不易と流行をしっかりと見極め、
子どもたちに接していく必要が
あるでしょう。

進路選択を考えはじめた中学生に、
ぜひ薦めたい一冊です。

※なお、本書出版は2005年。
 16年経って、この業界は
 どう変遷しているのか、
 興味があります。
 岩波ジュニア新書さん、
 本書の最新改訂版、
 つくってもらえませんか。

(2021.3.5)

StartupStockPhotosによるPixabayからの画像

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