いい文章を書きたい
「文章のみがき方」(辰濃和男)
岩波新書
どうすればいい文章を書けるのだろう。
そう思い続けて
かなりの年月がたちました。
何事もそうですが、
経験を積み重ねることが大切です。
以前は書こうと思っても、
書く目的がありませんでした。
でもいい時代になりました。
ブログです。
書いたものを発信する場があれば、
それが書く目的になります。
2014年の夏から、
一念発起して一日一文、
書いて投稿(当時はYahoo!ブログへ、
2018年に当サイト立ち上げ)する
ことを目標にしてきました。
それも数年前に読んだ
この一冊が刺激となっているからです。
本書は文章の書き方の手引き書です。
しかし、
単なるハウツーものとは違います。
技術論ではないのです。
夏目漱石から
よしもとばななに至るまで、
古今の作家の一文を紹介し、
著者の考える
「わかりやすい文章を書くための
心構え」を説いているのです。
書かれてある内容は、
言ってしまえば「当たり前のこと」です。
「毎日、書く」
「書きたいことを書く」
「わかりやすく書く」
「単純・簡素に書く」
「正確に書く」等々。
しかしそれを、
1975年から1988年にかけて
朝日新聞の「天声人語」を執筆してきた
元記者である著者が、
漱石や荷風、太宰や三島、
村上春樹などの文豪たちの
言葉を引用して説くのですから、
説得力があります。
それにしても、
本書に引用されている作家の顔ぶれの、
何と多彩なこと、
そして数の多いこと。
相当な読書量と思われます。
私が縁遠い時代小説作家、
山本周五郎や藤沢周平も
取り上げられています。
また、江國香織や西加奈子などの
若い作家も登場させています。
私の知らない作家も数多くありました。
いい文章を書く(アウトプット)ためには
文章を数多く読む(インプット)ことが
大切ということなのでしょう。
私も著者に少しでも近づけるよう、
たくさん本を読み、
毎日書くことを実践しているのですが、
…なかなか難しいです。
「日々たゆまずに書く。
そのうちにはきっと
あなた自身の文章が
形をなしてゆくはずです」の
言葉を信じて、頑張りたいと思います。
同じ岩波新書からは本書以前に
著者の「文章の書き方」が
刊行されています。
本書と併せて
高校生に薦めたいと思います。
(2021.5.26)