「惜別」(太宰治)
太宰は、いたって真面目だったのではないか 「惜別」(太宰治)(「惜別」)新潮文庫 自分一人と思っていた松島遊覧の船中にはもう一人、同じ仙台医専の制服の学生がいた。船が岸に着くやいなや、逃げるように島の山中へと歩を進めた「...
太宰は、いたって真面目だったのではないか 「惜別」(太宰治)(「惜別」)新潮文庫 自分一人と思っていた松島遊覧の船中にはもう一人、同じ仙台医専の制服の学生がいた。船が岸に着くやいなや、逃げるように島の山中へと歩を進めた「...
謎の多い「犯人当て小説」 「黄金の花びら」(横溝正史)(「横溝正史探偵小説コレクション ③聖女の首」)出版芸術社(「横溝正史少年小説コレクション ②迷宮の扉」)柏書房(「死仮面(オリジナル版)」)春陽文庫 午前二時の...
いいのか!?乱歩に怒られないのか? 「 金色の魔術師 」(横溝正史)(「横溝正史少年小説 コレクション②迷宮の扉」)柏書房 「金色の魔術師」(横溝正史)角川文庫 七人の少年少女を生け贄にすると宣言した金色の魔術師。最初...
限りない尊敬の念で綴られた一編 「レナ・ヴィース」(シュトルム/関泰祐訳)(「百年文庫021 命」)ポプラ社 少年時代の「私」の、かけがえのない友人のパン屋の娘レナ・ヴィース。彼女は幼い頃にかかった疱瘡の跡さえなければ美...
有島武郎を読んでみませんか。そして… 「生まれ出づる悩み(作品集)」(有島武郎)角川文庫 「生れ出づる悩み」自ら描いた数点の絵画を持参して、訪ねてきた「君」。「私」が評価とともに厳しい感想を告げると、「君」は「今度はもっ...
「戦略的に縮むこと」への意識改革が必要 「未来の年表2」(河合雅司) 講談社現代新書 大ベストセラー本「未来の年表」の第2弾です。2017年に発刊された第一作も、ブームが過ぎた2019年に読みましたが、もたもたしているう...
読書好き・本好きの心を捉えることに成功している 「ビブリア古書堂の事件手帳」(三上延)メディアワークス文庫 「俺」は祖母の大事にしていた漱石全集の価値を調べるため「ビブリア古書堂」を訪れる。その一冊に漱石の署名が入ってい...
消えゆこうとしている歓楽街と男女関係 「洲崎パラダイス」(芝木好子)(「日本文学100年の名作第5巻」) 新潮文庫 「洲崎パラダイス」(芝木好子)(「百年文庫041 女」)ポプラ社 宿屋の払いを済ませて外に出ると、二人の...
登場人物のどこかに太宰自身が顔を出すのが常です 「右大臣実朝」(太宰治)(「惜別」)新潮文庫 おたづねの鎌倉右大臣さまに就いて、それでは私の見たところ聞いたところ、つとめて虚飾を避けてありのまま、あなたにお知らせ申し上げ...
四十年たった今再読しても色褪せていません 「仮面城(山村正夫編集版)」(横溝正史)(「仮面城」)角川文庫 「仮面城(原典版)」(「横溝正史少年小説 コレクション②迷宮の扉」)柏書房 文彦が洋館にたどり着くと、中からは少...