「アイロンのある風景」(村上春樹)
「死」と隣り合わせにいる人間への光明 「アイロンのある風景」(村上春樹)(「神の子どもたちはみな踊る」) 新潮文庫 「アイロンのある風景」(村上春樹)(「日本文学100年の名作第9巻」) 新潮文庫 二月の深夜、三宅から焚...
「死」と隣り合わせにいる人間への光明 「アイロンのある風景」(村上春樹)(「神の子どもたちはみな踊る」) 新潮文庫 「アイロンのある風景」(村上春樹)(「日本文学100年の名作第9巻」) 新潮文庫 二月の深夜、三宅から焚...
戦争における「一般人の罪」 「あのころはフリードリヒがいた」(リヒター/上田真而子訳) 岩波少年文庫 今や男も女もそのかけ声にあわせて、ドア板を押し壊そうとした。見物人の輪の中からも、一人加わり二人加わり、いつのまにかか...
読むたびに想像する楽しみがつきません 「屋根裏の椅子」(林芙美子)(「清貧の書・屋根裏の椅子」) 講談社文芸文庫 煙草はサランボという奴を、まるで飯のように四箱は噛む。それにコニャックの大瓶を二日で空にしてしまい、胸も腹...
対岸から世の中を見たような三作品 「百年文庫028 岸」ポプラ社 「島守 中勘助」明治四十四年九月二十三日、ひどい吹きぶりのなかを島へわたった。これから「私」の住居となる家は、ほんの雨つゆしのぎになるばかり。周囲の山やま...
金田一耕助の事件簿064 昭和の時代の最先端のいかがわしさ 「壺中美人」(横溝正史)(「壺中美人」)角川文庫 画家がアトリエで何者かに刺殺される。使用人は血まみれのナイフを握りしめた女が、体をくねらせて壺の中に入っていこ...
由利・三津木の事件簿15 旧角川文庫から漏れた由利三津木の貴重な一篇 「迷路の三人」(横溝正史)(「由利・三津木探偵小説集成2」) 柏書房 「迷路の三人」(横溝正史)(「横溝正史探偵小説コレクション①」) 出版芸術社 肝...
暗号のようなやりとりを、受け止め合っている二人 「ものがたり」(北村薫)(「日本文学100年の名作第8巻」) 新潮文庫 「ものがたり」(北村薫)(「水に眠る」)文春文庫 大学受験のために七日間上京していた妻の妹・茜が今日...
必死に生き抜いている若者の姿 「骨」(有島武郎)(「百年文庫078 贖」)ポプラ社 「骨」(有島武郎)(「カインの末裔」)角川文庫 とうとう勃凸は四年を終えないうちに中学を退学させられた。学校というものが彼には理解できな...
書店で起こるささやかな「なぜ?」 「本と謎の日々」(有栖川有栖)(「本屋さんのアンソロジー」) 光文社文庫 詩織がアルバイトしている華谷堂書店には、いろいろな客がきて、時折小さな謎を残していく。入荷した全集本が痛んでいた...
人間の「死」を単純化せず、ありのままに提示 「15の夏を抱きしめて」(デ・レーウ/西村由美訳) 岩波書店STAMPBOOKS 15歳のトーマスは、母父の不和を黙って見ているしかない。恋人・オルフェーが心を病むのを黙って見...