「活人形」(泉鏡花)
泉鏡花は日本ミステリ界の先駆的存在 「活人形」(泉鏡花)(「泉鏡花集成1」)ちくま文庫 病院に駆け込んできた男は、何やら毒を盛られたらしい。探偵・倉瀬泰助は、鎌倉の赤城家で起きている家督の乗っ取り騒動と美人姉妹の生命の危...
泉鏡花は日本ミステリ界の先駆的存在 「活人形」(泉鏡花)(「泉鏡花集成1」)ちくま文庫 病院に駆け込んできた男は、何やら毒を盛られたらしい。探偵・倉瀬泰助は、鎌倉の赤城家で起きている家督の乗っ取り騒動と美人姉妹の生命の危...
大正期・昭和初期のミステリにはロマンがある 「死体昇天」(角田喜久雄)(「新青年傑作選集2」)角川文庫 谷に落ちた親友・浅川の救出に向かった幸次は、複雑な気持ちに襲われる。浅川は妻・時子に熱心であり、幸次は嫉妬に駆られて...
自分が知っている昭和の姿がそこかしこに現れている 「日本文学100年の名作第7巻 公然の秘密」新潮文庫 「鮒」(向田邦子)勝手口に置かれていたバケツには、一匹の鮒が入っていた。体長15センチほどのそれには、確かに見...
恋愛は、しかし実るはずがありません。 「朴歯の下駄」(小山清)(「百年文庫019 里」)ポプラ社 朴歯の下駄を履いて廓に通った「私」は若い妓を紹介される。まだ十九の「彼女」は、土の匂いがまだ残っているかのような素朴さがあ...
古楽への理解が進むとともに、疑問が氷解しました 「西洋音楽史」(岡田暁生)中公新書 本書の目的は、西洋芸術音楽の歴史を川の物語として語ることにある。単に音楽史上の重要な人物名や作品や用語などを、時代順に洩れなく列挙したり...
理想郷はやはり「理想」のまま… 「美しい町」(佐藤春夫)(「蝗の大旅行」)ほるぷ出版 画家である「私」は、旧友・川崎と再会する。川崎は父親の遺産を使って理想郷的町並みを建設する計画を語る。老建築師を加えた三人は、夢の計画...
長編作家として自身のスタイルを確立した作品集 「江戸川乱歩全集第2巻 パノラマ島綺譚」(江戸川乱歩)光文社文庫 「闇に蠢く」画家・野崎三郎には異性に対して独特の嗜好があった。顔に代表される容姿そのものよりも、肉...
父が十年、自身が二十年保存した「力道粉末」の袋 「力道山の弟」(宮本輝)(「日本文学100年の名作第8巻」) 新潮文庫 二十年前、亡くなった父の手文庫の中から見つけた「力道粉末」の袋。それは少年の日の「私」が、大道芸人か...
貧困ゆえ母子の愛も歪んでしまう 「お末の死」(有島武郎)(「カインの末裔」)角川文庫 十四歳の娘・お末の家では、父、そして二番目の兄と、相次いで二人の葬式を出した。そして今度はお末の注意不足から、姉の子と弟が赤痢で死んで...
しかし、十年経って再読した今、 「非属の才能」(山田玲司)光文社新書 「なんか違うなあ」と思っているあなた。あなたには才能がある。ただ、まわりの空気を読んで、いい人を演じて、その違和感をないことにしてきただけなのだ。本当...