「生命の大進化40億年史 中生代編」(土屋健)

地球史上もっともスリリングな時代・中生代

「生命の大進化40億年史 中生代編」
(土屋健)講談社ブルーバックス

「生命の大進化40億年史 中生代編」

「超温暖期」ともいえる白亜紀、
爬虫類はその地位を
盤石なものとしていきます。
世界各地では、
さまざまな恐竜類が生態系を
構築していきました。
運命の約6600万年前。
一つの巨大隕石の落下が、
時代に再度の
大転換を求めることに…。

多様な生命が爆発的に
進化・発展した古生代が終わり、
中生代が始まります。
この中生代は
恐竜の時代といってもいいほど、
地球の陸上のみならず、
海そして空すら、大恐竜たちが
その栄華を極めていたのです。
地球の40億年史において、もっとも
スリリングな時代であるといえます。
「生命の大進化40億年史」第2弾は、
この中生代にスポットを当て、
最新の科学的知見を盛り込み、
恐竜の時代を刺激的に解説しています。

【本書の章立て一覧】
はじめに
地質年代
第1章 再開の時代
第2章 隆盛の時代
第3章 大繁栄の時代
おわりに
参考資料・索引
※くわしくはこちらから(講談社HP)
こちらに内容案内が(講談社HP)

この分野は研究が
日進月歩で進んでいるのでしょう。
この手の本や情報に接するたびに、
これまでの概念が覆されるような
新知見に出会うことがたびたびであり、
本書についてもわくわくしながら
読み進めることができました。

本書のワクワク新知見①
羽毛恐竜はさらに拡大していた!

近年の恐竜の復元図のイラストは、
かつてと違い、羽毛が
描かれているものが多くなりました。
トカゲやイグアナのような
ゴツゴツした体表(いわゆる
「かたいうろこ」)ではないのです。
あのティラノサウルスでさえ、
背中に羽毛をまとったイラストが
描かれているのです。
恐竜はかなり「鳥類」へとシフトした
身体を持っていたというのが
現在の最新の研究の成果であることは
理解していましたが、
ここまで多くの恐竜が
羽毛を持っていた可能性があるとは
驚きです。

本書はイラストが豊富であり、
ペラペラと
頁をめくるだけでも愉しめます。
本書206~207頁の見開きに展開する
ディノケイルスの復元イラストには、
ほぼ全身が羽毛で覆われている、
大形の鳥のような姿が描かれています。
こうした復元図が
次から次へと現れてくるのです。
今後認識される恐竜の世界は、
私たち大人が子どもの頃に
脳内に描いていたものとは
まったく異なるものに
なっていくのでしょう。

本書のワクワク新知見②
化石から体表や羽毛の色までわかる!

そして、その羽毛や体表の色まで、
現代化学は解き明かそうとしている
ことにも驚かされました。
化石になれば色などわからない
(例えば現代のシマウマが化石になって
数万年後の人類が発見したとしても、
それが縞模様の体表であることまでは
発見できないだろうこと)という
思い込みがありました。

本書232頁に、
そうした記述が見られます。
「ボレアロペルタの背に
 赤茶色を示す色素の痕跡を確認した。
 腹側には同様の痕跡が
 確認されなかったことから、
 背の色を濃く、腹の色を薄くして
 風景に溶け込む、
 「カウンターシェーディング」を
 ボレアロペルタが「採用」していた
 可能性を指摘している」

もしかしたら恐竜の世界は、
私たちが想像しているよりも
ずっとカラフルだったかも
知れないのです。
色まで「発見」しようとする
科学者の姿勢にただただ驚かされます。

本書のワクワク新知見③
鳥への進化の過程が解明されつつある!

爬虫類から鳥類への進化の
過程を示す証拠として
教科書で学ぶのは「始祖鳥」です。
しかし中学校の教科書では、
「始祖鳥」は進化の過程についての
記述があるだけで、
地質年代における位置づけなどは
まったく書かれてありません。
なんとなく恐竜時代の末期に
鳥の祖先である始祖鳥が現れたような
誤解を生じているのですが、
正しくは中生代中期のジュラ紀の
登場となるのです。
だからそれ以後の白亜紀では、
さらに進化・大型化した、
「鳥によく似た恐竜たち」が
現れているのです。
本書にはそうした、恐竜から鳥への
進化の過程についての記述も
豊富なのです。

本書のワクワク新知見④
大型哺乳類もすでに登場していた!

さらに、恐竜の時代には、
私たち哺乳類の祖先は
まだまだ小型(ネズミサイズ)で、
恐竜たちに怯えながら
過ごしていたという認識がありました。
なんと中生代末期には、
すでに大型哺乳類が
登場していたのでした。
しかも小型恐竜を捕食していたと
いうのですから驚きです。
私たちの祖先は、
小さくて弱いものだけでは
なかったのです。

地球上を支配していた大恐竜たちも、
6600万年前に
大絶滅をしてしまいます。
その部分にも
興味がそそられるのですが、
それについては、本書は思い切って
簡略な説明にとどめています。
あくまでも恐竜の世界を
詳細に描くことに専念し、
絶滅については
別の著作に譲った形です。

本書を読むと、恐竜の時代についての
認識が一変してしまいます。
下手なミステリ小説よりも
よっぽどスリリングです。
第一弾「古生代編」を取り上げた際、
愉しみどころとして挙げた、
「初心者向けの丁寧な解説」
「一目で分かる図版が豊富」
「分かりやすく軽妙な語り」は、
第二弾である本書においても
まったく変わりません。
高校生に、
そして恐竜を愛するあなたに、
ぜひ薦めたい一冊です。

※今年の秋に第三弾
 「新生代編」が登場する予定です。
 そちらも楽しみにしたいと思います。

〔ブルーバックスについて〕
2017年に出版された土屋氏による
「カラー図解
古生物たちのふしぎな世界」

内容的に重なる部分が多いのは
仕方ないでしょう。
私は両方愉しんでいます。

〔「リアルサイズ古生物図鑑」について〕
「リアルサイズ古生物図鑑」も
「古生代編」「中生代編」「新生代編」と
三部作です。
本書をそれらと比較して読むと、
より立体的に古生物の世界を
捉えることができるはずです。

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技術評論社
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〔より詳しい書籍〕
技術評論社から刊行された
「古生物ミステリー」全10巻が
面白そうです。
私はまだ買っていませんが、
いずれ購入して
愉しみたいと思っています。

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(2023.4.18)

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