「奇岩城」(ルブラン)
高校生探偵ボートルレの冒険と挫折 「奇岩城」(ルブラン/堀口大學訳) 新潮文庫 ルーベンスの油絵を盗もうとした窃盗団は、まんまと逃げおおせる。捜査にあたった予審判事は何も手がかりをつかむことができなかった。しかし、現場に...
高校生探偵ボートルレの冒険と挫折 「奇岩城」(ルブラン/堀口大學訳) 新潮文庫 ルーベンスの油絵を盗もうとした窃盗団は、まんまと逃げおおせる。捜査にあたった予審判事は何も手がかりをつかむことができなかった。しかし、現場に...
漱石の初期短篇は、わかりません。 「倫敦塔・幻影の盾」(夏目漱石) 新潮文庫 倫敦塔を見物した事がある。その後再び行こうと思った日もあるが止めにした。人から誘われた事もあるが断った。一度で得た記憶を二返目に打壊わすのは惜...
すべて民衆の「空気」が引き寄せた「死」 「百年文庫047 群」ポプラ社 「象を射つ オーウェル」しかし、そのとき、わたしは振り向いて、わたしのあとからついて来た群衆を眺めた。それは二千人を下らない大群衆で、しかも、刻々に...
紙面から溢れ出ているヒッチコック愛 「ヒッチコック」(筈見有弘) 講談社現代新書 ヒッチコックの映画を深く読んでいくと、アイデンティティの追究、人間の内部における善と悪の葛藤、アモラルな視点、神の高見からの人間観察といっ...
女子高生名探偵、白井澄子の冒険 「死仮面(完全版)」(横溝正史)(「死仮面」)春陽文庫 「デスマスクって、本当に死んでからでないととれないものでしょうか」。金田一のもとを訪れた依頼者はそう語った後、一つのデスマスクを取り...
込められた意味を読み取る作業はきわめて「読書的」 「ルックバック」(藤本タツキ)集英社 漫画に自信を持っていた藤野は、不登校の京本の画力の高さに驚愕する。ひたすら漫画を描き続ける藤野だったが、やがて描くことを諦めてしまう...
両師匠による「ベースボール小噺」 「アリバイ・アイク」(ラードナー/加島祥造訳)(「百年文庫052 婚」)ポプラ社 やつはフランク・X・ファレルというんだがね、どうもXってのは、「言いわけ」のXじゃねえかなあ。なぜってこ...
まだまだ本を愛している人間がたくさんいる 「本は、これから」(池澤夏樹編) 岩波新書 ここに集められた文章全体の傾向を要約すれば、「それでも本は残るだろう」ということになる。あるいはそこに「残ってほしい」や、「残すべきだ...
ホームズが煽る秘密結社の「恐怖」 「オレンジの種五つ」(ドイル/日暮雅通訳)(「シャーロック・ホームズの冒険」) 光文社文庫 嵐の夜にホームズを訪れた青年は、奇怪な事件を打ち明ける。彼の伯父と父親が、正体不明の団体から五...
表題だけで終わればいいのですが…。 「あしたは戦争 巨匠たちの想像力・戦時体制」 ちくま文庫 いつはじまっていつ終わるのかも、誰がはじめて誰が得するのかもわからない戦争。人々は先が見えない不安の中で右往左往するしかなく...