「呪われた腕」(ハーディ)
ハーディの頭脳の中の「運命の神」は、いったい 「呪われた腕」(ハーディ/河野一郎訳)(「呪われた腕」)新潮文庫 前夫が再婚するという話を聞き、冷静さを失うローダ。彼女は夜、その新妻が寝室に現れて胸の上に腰掛け、左手を見せ...
ハーディの頭脳の中の「運命の神」は、いったい 「呪われた腕」(ハーディ/河野一郎訳)(「呪われた腕」)新潮文庫 前夫が再婚するという話を聞き、冷静さを失うローダ。彼女は夜、その新妻が寝室に現れて胸の上に腰掛け、左手を見せ...
さまざまなドラマが創り出される「街」 「百年文庫053 街」ポプラ社 「感傷の靴 谷譲次」ああ、ヘンリイも日本人、俺も日本人――遠く故国を離れて二十有余年、ふわふわとその日を送っているように見えても、俺たちは矢張り日本人...
聖なるクリスマスに幽霊話? 「婆やの話」(ギャスケル/松岡光治訳)(「ギャスケル短篇集」)岩波文庫 「婆や」がロザモンド嬢を連れて移り住んだファーニヴァル館は、二人の老婦人とわずかな使用人だけの住む大きな屋敷だった。冬の...
そんなことができるのか?できたのです。 「ギルバート・マレル卿の絵」(ホワイトチャーチ/中村能三訳)(「世界推理短編傑作集2」) 創元推理文庫 列車の真ん中の一台が、運行中に消失するという不思議な事件が持ち上がる。問題の...
味わいどころはもちろん「ワクワク感」 「ファレサアの濱」(スティーブンスン/中村徳三郎訳)(「南海千一夜物語」)岩波文庫 初めてその島を見た時は夜とも朝ともつかなかった。月は西に沈もうとしていたが、まだ煌々として光り耀い...
その計算され尽くした、緻密な筋書きの妙 「ノヴェレ」(ゲーテ/小牧建夫訳)(「百年文庫057 城」)ポプラ社 火の手の広がる市場へと向かう公爵夫人と従者ホノーリオの前に現れた猛獣・虎。混乱する市場の見世物小屋から逃げ出し...
「俺」ははたして生き延びることができるのか? 「四日間」(ガルシン/神西清訳)(「紅い花 他四篇」)岩波文庫 俺は戦闘で負傷したんだな。重傷か、それとも軽傷かなと、脚の痛むところを触って見た。右脚も左脚も、ごわごわに乾い...
見えてくる犯人像、しかし最後に… 「予告殺人」(クリスティ/田村隆一訳) ハヤカワ文庫 「殺人お知らせ申し上げます。10月29日、午後6時30分より」。奇妙な新聞広告に引き寄せられてブラックロック邸へ集まった人々。当初悪...
読み手に対して仕掛けた「罠」が潜んでいる 「スペードの女王」(プーシキン/神西清訳)(「スペードの女王・ベールキン物語」) 岩波文庫 純真な娘リザヴェータを利用し、伯爵夫人の邸宅に忍び込んだゲルマン。彼は夫人を脅し、「三...
味わいどころは登場人物三人のおかしな振る舞い 「天狗洞食客記」(牧野信一)(「ゼーロン・淡雪 他十一篇」)岩波文庫(「百年文庫059 客」)ポプラ社 厳しい酒に対してこんなにも脆弱であるわが身が日増しに重荷となって来るの...