「あしながおじさん」(ウェブスター)
ジェルーシャの手紙の軽やかさの裏に 「あしながおじさん」(ウェブスター/岩本正恵訳)新潮文庫 みなしごを大学へ進学させてくださる親切な評議員さまへあなたについてわたしが知っているのは、たった三つⅠ 背が高い。Ⅱ お金持ち...
ジェルーシャの手紙の軽やかさの裏に 「あしながおじさん」(ウェブスター/岩本正恵訳)新潮文庫 みなしごを大学へ進学させてくださる親切な評議員さまへあなたについてわたしが知っているのは、たった三つⅠ 背が高い。Ⅱ お金持ち...
私たちのすぐ隣にそっと寄り添うSF 「素顔の時間」(眉村卓)角川文庫 「点滅」佐久間が取材した学者は、刈谷という変人だった。自宅の一室でありながらサングラスにマスク、手袋着用といういでたちで現れた刈谷は、人間の欲望はある...
ラストシーンの「脱げない制服」 「制服」(安部公房)(「幽霊はここにいる・どれい狩り」) 新潮文庫 ちぇっ、まっぴらだぜ、せっかくうめえ具合に生きてたのによ。面白くもねえ、おとついまでは立派な人間だったんだ。誰がどこから...
「ファンタジー」を裏切るホラー演出 「ぼくが消えないうちに」(ハロルド/こだまともこ訳)ポプラ社 ラジャーは消えかけている。ラジャーのことを考えたり、思い出してくれたり、そこにいるように想像してくれたりするアマンダがいな...
「なり損ねた」男女三人の人物像 「薔薇王」(横溝正史)(「悪魔の家」)角川文庫(「横溝正史ミステリ 短篇コレクション④」)柏書房 行きつけのグリルの様子がおかしいことに気づき、朱実はボーイをつかまえて事情を聞き出す。...
本当の「自立」とは、他人にSOSを出せること 「飛ぶための百歩」(フェスタ/杉本あり訳)岩崎書店 五歳から光を失ったルーチョは、叔母のベアとともにアルプス山脈のドロミテ山塊へ登る。宿泊地である山小屋で、彼は同じ十四歳の少...
「自然の美しさ」と「静謐な世界観」 「みかげ石 他二篇」(シュティフター/手塚富雄・藤村宏訳) 岩波文庫 石さながらに、その印象もまたそれぞれに異なっている。しかし、全体を通じて一貫しているものは、「すべての人間は、他の...
大正昭和期の探偵小説の多様性を味わう 「新青年傑作選集1 犯人よ、お前の名は?」角川文庫 古い雑誌でいまでも懐かしがられる点では、「新青年」にしくものはない。発行部数でいえば、最盛期でも数万部にすぎなかったのに、この雑...
「夢を追いかけることの大切さ」だけではない価値 「夢へ翔けて」(ミケーラ・デプリンス/田中奈津子訳) ポプラ社 「邪悪」で「冷たい」オディールになる前は、わたしはミケーラ・デプリンスという名前で、ミケーラになる前は、マビ...
父親不在から見える、作品のもう一つの顔 「大根の葉」(壺井栄)(「百年文庫073 子」)ポプラ社 健のお母さんは、今夜また赤ん坊の克子をつれて神戸の病院へ行くことになっている。健はどうにかしてお母さんについて神戸へ行きた...