「昆虫図」(久生十蘭)
「削ぎ落とす美学」が生み出した芸術的達成 「昆虫図」(久生十蘭)(「久生十蘭集 ハムレット」) ちくま文庫 …フト畳の上を見ると、乾酪の中で見かけるあの小さな虫が、そこらいちめんウジョウジョと這い廻っていた。いま二人が坐...
「削ぎ落とす美学」が生み出した芸術的達成 「昆虫図」(久生十蘭)(「久生十蘭集 ハムレット」) ちくま文庫 …フト畳の上を見ると、乾酪の中で見かけるあの小さな虫が、そこらいちめんウジョウジョと這い廻っていた。いま二人が坐...
あり得ない設定、でも十蘭なら 「黒い手帳」(久生十蘭)(「久生十蘭短篇選」)岩波文庫 自分の机の上にいま一冊の手帳が載っている。一輪挿しの水仙がそのうえに影を落としている。一見、変哲もない古手帳にすぎぬが、この中には、あ...
凝縮し、結晶化したような最後の一文 「黄泉から」(久生十蘭)(「久生十蘭短篇選」)岩波文庫(「文豪怪談傑作選・昭和篇」) ちくま文庫 ルダンさんの家庭塾には光太郎ばかりではなく、光太郎のただひとりの肉親である従妹のおけい...
絶品のミステリ&純文学&ショートショート 「骨仏」(久生十蘭)(「墓地展望亭・ハムレット 他六篇」) 岩波文庫 床ずれがひどくなって寝がえりもできない。梶井はあおのけに寝たまま、半蔀の上の山深い五寸ばかりの空の色を横眼で...
幻想小説の衣を着せて、その深奥に… 「生霊」(久生十蘭)(「墓地展望亭・ハムレット 他六篇」) 岩波文庫(「文豪怪談傑作選・昭和篇」) ちくま文庫 飛騨を訪れた画家松久三十郎は、畑の中で盆踊りを踊る、色気のある女と出くわ...
それぞれ「自身の内なる神」へ祈りを捧げていた 「百年文庫056 祈」ポプラ社 「春雪 久生十蘭」知人の娘の結婚式に出席した池田は、姪の柚子のことを考え、無念な思いをかみしめる。柚子は人生の楽しみの何も味わうことなく、二十...
戦争という極限状態の中でも人は幸福を見つけられる 「春雪」(久生十蘭)(「久生十蘭短篇選」)岩波文庫(「百年文庫056 祈」)ポプラ社 知人の娘の結婚式に出席した池田は、姪の柚子のことを考え、無念な思いをかみしめる。柚子...