「日本文学100年の名作第2巻 幸福の持参者」
百花繚乱の相を呈していた、大正期の日本文学 「日本文学100年の名作 第2巻 幸福の持参者」新潮文庫 「島守 中勘助」明治四十四年九月二十三日、ひどい吹きぶりのなかを島へわたった。これから「私」の住居となる家は、ほん...
百花繚乱の相を呈していた、大正期の日本文学 「日本文学100年の名作 第2巻 幸福の持参者」新潮文庫 「島守 中勘助」明治四十四年九月二十三日、ひどい吹きぶりのなかを島へわたった。これから「私」の住居となる家は、ほん...
暗黒の中に光明を見いだそうとする姿 「恢復期」(堀辰雄)(「菜穂子 他五篇」)岩波文庫 Y岳の麓にあるサナトリウムに、肺結核を病む「彼」は入院する。夜中に行った便所の帰り、「彼」は自分の部屋を見失う。自分の病室と思われた...
この「青さ」と「未熟さ」が眩しい 「百年文庫077 青」(ポプラ社) 「麦藁帽子 堀辰雄」 夏休みの避暑地で、 「私」は少女と念願の再会を果たす。 彼女は「私」の幼馴染みであり、 「私」の年上の友人の妹である。 かつて幼...
少女の姿がこうも変化して描かれているのは 「麦藁帽子」(堀辰雄) (「日本文学100年の名作第2巻」) 新潮文庫 夏休みの避暑地で、「私」は少女と念願の再会を果たす。彼女は「私」の幼馴染みであり、「私」の年上の友人の妹...
私小説か?いいえ、堀独自のスタイルの小説です 「旅の絵」(堀辰雄) (「風立ちぬ・美しい村・麦藁帽子」) 角川文庫 生活に疲れた「私」は、 旅に出て神戸駅付近の 小さなホテルに宿泊する。 夜、ホテルの階段で 綺麗な少女...
味わうべきは「三者三様の女の生き方」 「菜穂子・楡の家」(堀辰雄)新潮文庫 三村夫人は娘・菜穂子との関係に 悩んでいたが、久しぶりに会った おようのすがたから、自分の考えが 変わっていくのを感じる。 もしかしたら不仲な親...
三村夫人とも菜穂子とも違う、一人の女性の生き方 「ふるさとびと」(堀辰雄) (「菜穂子・楡の家」)新潮文庫 牡丹屋の娘おようは 村のホテルの長男に嫁いだが、 身籠もると実家に帰り、 それきり離別する。 おようは以前とは打...
堀の傑作「菜穂子」につながる初期2作品 「ルーベンスの偽画」「聖家族」 (堀辰雄) (「菜穂子 他五篇」)岩波文庫 「ルーベンスの偽画」 避暑地・軽井沢にやってきた「彼」は、 母親とともに別荘で過ごしている 「彼女」に片...
菜穂子が愛のない結婚に踏み切った理由 「楡の家」(堀辰雄) (「菜穂子・楡の家」)新潮文庫 「私」は娘である菜穂子に いつか読んでもらうために 日記を手帳に綴る。 「私」は娘に過失を持った 一個の人間として 見てくれるこ...
孤独感を読み解くべきなのでしょう 「菜穂子」(堀辰雄) (「菜穂子・楡の家」)新潮文庫 前回「感動的なやりとりが あるわけではありません」と書きました。 菜穂子と明の 再会場面だけではありません。 物語全体に大きな起伏が...