「ピスタチオ」(梨木香歩)
「生」と「死」を考えるための、大人の純文学作品 「ピスタチオ」(梨木香歩)ちくま文庫 ライターである棚のもとへ、アフリカ取材の仕事が舞い込む。愛犬の病、前線の通過、アフリカに生きた友人の死、棚の周囲に起きたいくつかのこと...
「生」と「死」を考えるための、大人の純文学作品 「ピスタチオ」(梨木香歩)ちくま文庫 ライターである棚のもとへ、アフリカ取材の仕事が舞い込む。愛犬の病、前線の通過、アフリカに生きた友人の死、棚の周囲に起きたいくつかのこと...
ただ、静かに、たおやかに、語りかけてくる 「やがて満ちてくる光の」(梨木香歩) 新潮文庫 児童文学が大人の中の子どもの視点を呼び覚ますものであるなら、現役の子どもたちの「社会の新人」としての目が現代のすさまじい昏さを捉え...
本作品は、おそらく「赦し」の物語 「エンジェル エンジェル エンジェル」(梨木香歩)新潮文庫 「エンジェル エンジェル エンジェル」(梨木香歩)原生林 熱帯魚飼育のために用意した水槽のモーター音は、寝たきりに近い祖母の意...
「土地の名前」に潜んでいるものの意味や価値 「鳥と雲と薬草袋/ 風と双眼鏡、膝掛け毛布」(梨木香歩) 新潮文庫 ひとはこんなにも分かち難く土地と結びついている。長い年月をかけて思いをかけられた地名は、ときに生きていくエネ...
私たち一人一人に「内なるリーダー」が必要となる 「ほんとうのリーダーの みつけかた 増補版」(梨木香歩) 岩波現代文庫 一見、ハウツー本のようなタイトルですが、そうではありません。「あなたの、 ほんとうのリーダーは、...
より一層、草壁皇子の悲哀に接近できる 「丹生都比売(原生林版)」(梨木香歩) 出版工房原生林 おじいさまは殺された、おとうさまに。おかあさまはお可哀いそう。誰の咎か。誰がこの責めを負うのか。…過ったものなどいない。誰も過...
「救いが与えられている」と考えてはいけない 「丹生都比売」(梨木香歩)(「丹生都比売 梨木香歩作品集」) 新潮社 草壁皇子が見た夢の中の少女は、丹薬の匙加減により毎日少しずつ水銀の分量を増やし、自身の弟を死に至らしめる。...
4つの「西の魔女が死んだ」 「西の魔女が死んだ」(梨木香歩) 楡出版・小学館・新潮文庫・新潮社 わたしはもう学校へは行かない。中学進学後、不登校となった少女まい。彼女は片田舎に一人で住む祖母の家で過ごすことになる。祖母が...
人を癒やし、人に寄り添い、人を励ます言葉たち 「ブラッキーの話」「冬の午後」「かまどに小枝を」(梨木香歩)(「西の魔女が死んだ」)新潮社 まいから怖い話をねだられたママは、暗い夜道に現れる「黒い影」の話をする。それはどう...
描かれているのは、人と人との繋がり 「春になったら苺を摘みに」(梨木香歩)新潮文庫 二十年前英国留学中の「私」が下宿していたウェスト夫人は、博愛精神の女性だった。異国人はもとより、思想信条の異なる人間、さらには犯罪歴のあ...