「子どもと本」(松岡享子)

何よりも大切な子どもの読書体験

「子どもと本」(松岡享子)岩波新書

また良い本に出会うことができました。
子どもの読書体験を
何よりも大切に考えている著者の意見に
我が意を得た思いがしました。

第1章 子どもと本とわたし
著者が本と関わってきた半生が
紹介されています。
本好きが講じてついには
アメリカの大学の図書館学科へ留学。
児童図書館員としてのキャリアを
スタート。
日本に戻り、家庭文庫の開設から始まり、
東京子ども図書館設立へ。

第2章 子どもと本との出会いを助ける
幼児期からの読み聞かせ体験の
重要性について説いています。
読書体験の始まりは家庭からであって、
それが親と子の心を
つないでいくということが
書かれてあります。

私も息子が小さい頃、
読み聞かせをしました。
妻が絵本収集していて、
100冊近い絵本があったから
できたことなのですが。

第3章 昔話のもっている魔法の力
昔話がなぜ子どもの心を引きつけるのか
実例をあげて解説しています。

前回取り上げた
「ピーター・パンとウェンディ」に
ついては、まさにこの章を読んで
私自身の受け止め方が変わりました。
目から鱗が落ちた思いでした。

第4章 本を選ぶことの大切さと難しさ
自分からは決して手を出さないであろう
本を薦めることが、
子どもたちが自分では気付かなかった
「新しい楽しみの能力」を発見させると
説明しています。

これがまさに私がブックセイリングの
活動を提案している理由と重なります。
自分の勤務校でもまだまだ
浸透していないのですが、
私のできる範囲で子どもたちの
「読書の新しい楽しみ」を
広げていきたいと思っています。

第5章 子どもの読書を育てるために
良い方向に改善されたとはいえ、
まだまだお寒い日本の図書館事情、
特に学校図書館に対する行政の
無策ぶりについて指摘しています。

私も何か自分にできることがないかと
思い、7年前6万円近い受講料を払い、
司書教諭の資格を取りました。
まだまだ勉強不足、力不足なのですが。

日本の図書館状況を改善させるために、
この本がもっともっと
広く読まれることを
切に望む次第です。

(2020.1.17)

PezibearによるPixabayからの画像

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