「枯葉」(ベッケル)
詩人ベッケルの、詩のような「ものがたり」 「枯葉」(ベッケル/高橋正武訳)(「碧の瞳・月影 他十二篇」)岩波文庫(「百年文庫054 巡」)ポプラ社 「あの女のひとも、人の世から離れていったのね。あの新しいお墓のなかで眠っ...
詩人ベッケルの、詩のような「ものがたり」 「枯葉」(ベッケル/高橋正武訳)(「碧の瞳・月影 他十二篇」)岩波文庫(「百年文庫054 巡」)ポプラ社 「あの女のひとも、人の世から離れていったのね。あの新しいお墓のなかで眠っ...
他人の真似できないことで勝負する 「仕事が人をつくる」(小関智弘) 岩波新書 仕事が人をつくり、人を育てる。人は働きながら、その人となってゆく。人格を形成するといっては大袈裟だけれど、その人がどんな仕事をして働いてきたか...
倒叙形式、科学捜査、そしてソーンダイク博士 「オスカー・ブロズキー事件」(フリーマン/大久保康雄訳)(「世界推理短編傑作集2」) 創元推理文庫 サイラスはブロスキー殺害を決行する。彼のポケットにはやはり大粒のダイヤモンド...
それはあたかもみずうみの水面の静けさにも似て 「みずうみ」(シュトルム)(松永美穂訳)(「みずうみ/三色すみれ/ 人形使いのポーレ」) 光文社古典新訳文庫(関泰祐訳)(「みずうみ 他四篇」)岩波文庫(高橋義孝訳)(「み...
理想家オクタヴィヤンの時空を越えた恋の行方 「ポンペイ夜話」(ゴーチェ/田辺貞之助訳)(「死霊の恋・ポンペイ夜話 他三篇」) 岩波文庫(「百年文庫054 巡」)ポプラ社 青年・オクタヴィヤンは、ポンペイの博物館の遺跡に心...
ポスト・コロナの時代、どう読まれるべきか? 「ペスト」(カミュ/宮崎嶺雄訳) 新潮文庫 街で大量の鼠が死に始める。そしてそれと同じように人々が次々と謎の病いで倒れてゆく。医師・リウーは、この病気がペストであることに気づく...
「事件」は、やはり時代を映し出しています 「幽霊嬢」(横溝正史)(「芙蓉屋敷の秘密」)角川文庫(「横溝正史ミステリ 短篇コレクション⑤」)柏書房 映画監督・山野のもとに奇妙な手紙が届く。彼の作品に出演した少年俳優が、数...
幻想小説の衣を着せて、その深奥に… 「生霊」(久生十蘭)(「墓地展望亭・ハムレット 他六篇」) 岩波文庫(「文豪怪談傑作選・昭和篇」) ちくま文庫 飛騨を訪れた画家松久三十郎は、畑の中で盆踊りを踊る、色気のある女と出くわ...
チコから叱られ…、いや、心を温めてもらって…。 「チコのはなし」(子母沢寛)(「愛猿記」)中公文庫(「百年文庫053 街」)ポプラ社 おときさんはびしょびしょにぬれた死にかかったような痩せた子イヌを一匹入れて戻ってきた。...
幽霊以上に恐ろしい「現実」がそれぞれ登場します 「レサカにて戦死」「チカモーガの戦い」(ビアス/小川高義訳)(「アウクリーク橋の出来事/豹の眼」) 光文社古典新訳文庫 われわれはブレイル中尉に対して、賞賛とともに好感を抱...