「佝僂の樹」(横溝正史)
味わいどころは慎介の冒険、静馬の暗躍、千絵の決断 「佝僂の樹」(横溝正史)(「横溝正史ミステリ 短篇コレクション⑥」)柏書房 「佝僂の樹」(横溝正史)(「青い外套を着た女」)角川文庫 転落したバスで唯一生き残った慎介は...
味わいどころは慎介の冒険、静馬の暗躍、千絵の決断 「佝僂の樹」(横溝正史)(「横溝正史ミステリ 短篇コレクション⑥」)柏書房 「佝僂の樹」(横溝正史)(「青い外套を着た女」)角川文庫 転落したバスで唯一生き残った慎介は...
狂気か、それともブラックユーモアか 「タール博士とフェザー教授の療法」(ポー/巽孝之訳)(「大渦巻への落下・灯台」)新潮文庫 南仏旅行中の「わたし」は、以前より関心を持っていたマイヤール氏経営の精神病院へ見学を申し入れる...
抽象世界、詩的世界、幻想的世界 「アトランティス物語」(ノヴァーリス/高橋英夫訳)(「百年文庫054 巡」)ポプラ社 年老いた国王によって大切に育てられた美しい姫は、そのあまりの高貴さゆえ、婿になるべき王子が見つからぬま...
「逃亡者」「追跡者」そして「誘惑者」 「誘惑者」(安部公房)(「無関係な死・時の崖」)新潮文庫 「誘惑者」(安部公房)(「安部公房全集007」)新潮社 終列車出発後の待合室。大男は、そこにいた二人の女の一方を追い出し、ベ...
探偵小説の源流は、こんなにも魅力に溢れた世界 「世界推理短編傑作集1」(江戸川乱歩編)創元推理文庫 「盗まれた手紙 ポオ」「助けてくれるんなら誰にだって五万フラン払うよ」という警視総監の言葉を聞いたデュパンは、小切手を受...
では、どんな運命が彼女の前に現れるのか? 「幻想を追う女」(ハーディ/河野一郎訳)(「呪われた腕」)新潮文庫 この部屋の持ち主は、私の勝てなかったあの人だった。エラのために貸別荘の部屋を空けてくれた男は、エラが目指してい...
娯楽的要素の背後にある「日本人とは何か」 「感傷の靴」(谷譲次)(「百年文庫053 街」)ポプラ社 ああ、ヘンリイも日本人、俺も日本人――遠く故国を離れて二十有余年、ふわふわとその日を送っているように見えても、俺たちは矢...
いかにして「漫画」となったか、それが味わいどころ 「働くということ」(黒井千次・池田邦彦)講談社 体験記のような新書が、漫画として生れ変わる、と聞いて驚いた。しかしいずれも人々が生きて行こうとする営みの中から生み出される...
怪しい人物はただ一人だけ、横溝の新機軸 「猟奇の始末書」(横溝正史)(「七つの仮面」)角川文庫 「猟奇の始末書」(横溝正史)(「青蜥蜴」)双葉社 白浜海岸にある洋画家・三井の別荘に遊びに来ていた金田一は、外の海に向けられ...
いけないいけない、近づきすぎてはいけない。 「AとBの話」(谷崎潤一郎)(「潤一郎ラビリンスⅩ」)中公文庫 AとBと云うのは二人の青年の名であるが、同時に又、この二人が持っていた全く異った二つの「魂」の名でもある。だから...