「名残の雪」(眉村卓)
歴史改変、そして反転する「入れ子構造」 「名残の雪」(眉村卓)(「思いあがりの夏」)角川文庫 雑誌社の守衛・伊藤が、暴漢に撃たれて亡くなる。親しかった社員の「ぼく」は彼の家を訪問するが、そこで彼の妻から遺品の原稿を手渡さ...
歴史改変、そして反転する「入れ子構造」 「名残の雪」(眉村卓)(「思いあがりの夏」)角川文庫 雑誌社の守衛・伊藤が、暴漢に撃たれて亡くなる。親しかった社員の「ぼく」は彼の家を訪問するが、そこで彼の妻から遺品の原稿を手渡さ...
どこかユーモラスで滑稽な「怪奇幻想小説」 「コーヒー沸かし」(ゴーチェ/田辺貞之助訳)(「死霊の恋・ポンペイ夜話 他三篇」) 岩波文庫 時計が十一時を打った。最後の振動がいつまでもひびいていた。そして、それがまったく消え...
「ふしぎ」は言葉にできない自分の内面 「夕暮れのマグノリア」(安東みきえ) 講談社 …耳に届いたんだ。あたしたちも、そんなふうにしてきっとだれかに守られている。信じてはもらえないのかもしれない。見えないってことはいないっ...
21世紀における「ノストラダムスの大予言」の楽しみ方 「ノストラダムス大予言の秘密」(高木彬光)角川文庫 一九九九年七月、全人類は滅亡する!まったくすごい断定だが、こういうキャッチ・フレイズで売り出した「ノストラダムスの...
「家」という小宇宙、そして人生の「夕」 「百年文庫081 夕」ポプラ社 百年文庫第81巻を読み終えました。あまりなじみのない日本の作家三人の、端正なたたずまいを見せる三作品です。 〔「百年文庫081 夕」〕悲しき配分 鷹...
「時」とは何か、「夢」とは何か、「庭」とは何か 「トムは真夜中の庭で」(ピアス/高杉一郎訳)岩波少年文庫 おじおばの住むアパートに預けられたトム。大時計が「13時」を告げたとき、彼は不思議な庭へと迷い込む。そこで少女ハテ...
すべてが崩れ去る驚愕の結末 「夢の底から来た男」(半村良)(「夢の底から来た男」)角川文庫 物静かでささやかな平和を求めるサラリーマン・一郎の夢の中に現れる「血まみれの手をした男」は、やがて現実世界でもその姿を現し始める...
描かれるのは、未熟ゆえに烈しい青年期の心理 「心臓」(小川国夫)(「流域」)河出書房新社(「百年文庫072 蕾」)ポプラ社 …ゴクンゴクンと波動を胸壁にぶつけていた。一糸乱れないのが彼には不思議だった。どんな動物も体に心...
ジェルーシャの手紙の軽やかさの裏に 「あしながおじさん」(ウェブスター/岩本正恵訳)新潮文庫 みなしごを大学へ進学させてくださる親切な評議員さまへあなたについてわたしが知っているのは、たった三つⅠ 背が高い。Ⅱ お金持ち...
私たちのすぐ隣にそっと寄り添うSF 「素顔の時間」(眉村卓)角川文庫 「点滅」佐久間が取材した学者は、刈谷という変人だった。自宅の一室でありながらサングラスにマスク、手袋着用といういでたちで現れた刈谷は、人間の欲望はある...