カテゴリー: 11 明治生まれの作家
「新青年傑作選集1 犯人よ、お前の名は?」
大正昭和期の探偵小説の多様性を味わう 「新青年傑作選集1 犯人よ、お前の名は?」角川文庫 古い雑誌でいまでも懐かしがられる点では、「新青年」にしくものはない。発行部数でいえば、最盛期でも数万部にすぎなかったのに、この雑...
「大根の葉」(壺井栄)
父親不在から見える、作品のもう一つの顔 「大根の葉」(壺井栄)(「百年文庫073 子」)ポプラ社 健のお母さんは、今夜また赤ん坊の克子をつれて神戸の病院へ行くことになっている。健はどうにかしてお母さんについて神戸へ行きた...
「おくま嘘歌」(深沢七郎)
深沢の見た庶民の「すさまじさ」 「おくま嘘歌」(深沢七郎)(「庶民列伝」)中公文庫(「百年文庫092 泪」)ポプラ社 おくまは今年63で、数えどしなら64だが、「いくつになりやすか?」と聞かれると、「そろそろ、70に届き...
「入江のほとり」(正宗白鳥)
誰とも共有できない内面世界を持って生きる人間の孤独 「入江のほとり」(正宗白鳥)(「入江のほとり 他一篇」)岩波文庫(「百年文庫081 夕」)ポプラ社 長兄の榮一が奈良から出した繪葉書は三人の弟と二人の妹の手から手へ渡つ...
「家の中」(中里恒子)
読み手の心に静かに染み込む「空気感」 「家の中」(中里恒子)(「家の中」)講談社(「百年文庫081 夕」)ポプラ社 鳥獣蟲魚それぞれに、棲家をもつてゐる。それは一種のテリトリイであつて、他者が理由なく侵入したり、棲みこん...
「野の少女」(島木健作)
昭和十年代の外側に立つ女性・原田玉枝 「野の少女」(島木健作)(「赤蛙」)新潮文庫 政治家・池尻家の女中・原田玉枝は、家人たちのわがままな振舞いや無理難題の中で、それに負けずに生きてきた。しかしもう一人の女中なかまのカズ...
「野菊の墓」(伊藤左千夫)
野菊のメタファーと初恋の永遠の美化 「野菊の墓」(伊藤左千夫)(「野菊の墓 他七篇」)岩波文庫(「野菊の墓 他四篇」)岩波文庫(「野菊の墓」)角川文庫(「野菊の墓」)新潮文庫 「僕は野菊がだい好き。民さんも野菊が好き」「...
「百年文庫068 白」
「死」という過酷な現実から浮かび上がる「生」 「百年文庫068 白」ポプラ社 百年文庫第68巻を読了しました。実は本書を読んだのではなく、三作品ともそれぞれの作家の作品集を通じて読みました。三作品をアンソロジーとして一つ...
「伝説」(火野葦平)
「河童」は何のメタファーか? 「伝説」(火野葦平)(「百年文庫095 架」)ポプラ社 鈍重で、暗愚ではあるが、真摯で、傲岸で、怠惰な一匹の河童が棲んでいた。或るとき、かれは生命にかかわるような冒険をした後、仲間のあいだか...










