「ともしい日の記念」(片山廣子)
この新しい年をよろこべ! 「ともしい日の記念」(片山廣子) ちくま文庫 はじめに生れたのは歓びの霊である、この新しい年をよろこべ!ケルトの古い言ひつたへかもしれない、或るふるぼけた本の最後の頁に何のつながりもなくこの暦が...
この新しい年をよろこべ! 「ともしい日の記念」(片山廣子) ちくま文庫 はじめに生れたのは歓びの霊である、この新しい年をよろこべ!ケルトの古い言ひつたへかもしれない、或るふるぼけた本の最後の頁に何のつながりもなくこの暦が...
自然災害が直撃するのはいつも貧しい人間 「雨」(広津柳浪)(「今戸心中 他二篇」)岩波文庫 今日で十日ばかりと云ふもの、一時間とは靑空を仰いだ事がない霖雨に、なべての人氣を腐らす中にも、其日々々に朝夕の料を稼がねばならぬ...
傳吉に見る「純愛」の一つの形 「變目傳」(広津柳浪)(「今戸心中 他二篇」)岩波文庫 容貌の醜い傳吉は、得意先の仁壽堂主人の妹・お濱に想いを寄せる。仁壽堂の徒弟・定二郎はそれを面白がり、お濱の「冩眞挾」を譲り渡す約束で、...
巴里を舞台に描かれる、人間のもっとも根源的な感情 「百年文庫063 巴」ポプラ社 百年文庫第63巻を読了しました。テーマは「巴」。といっても日本の伝統文様としての「巴(ともえ)」(コンマのような文様)のことではありません...
作品の裏側に透けて見える時代の潮目 「春の絵巻」(中谷孝雄)(「招魂の賦」)講談社文芸文庫(「百年文庫068 白」)ポプラ社 「こんな美しい風景を見ていると、生れて初めて春に逢ったような気がするじゃないか…」岡村はひとり...
マゾヒズム、谷崎でなければ描けない世界。 「潤一郎ラビリンスⅡ」(谷崎潤一郎) 中公文庫 マゾヒストとは、谷崎潤一郎が「日本におけるクリップン事件」の冒頭に述べているように、クラフト・エビングによって命名された「異性に虐...
時空を超えて私たちに迫ってくる吉野の問いかけ 「同時代のこと」(吉野源三郎)岩波新書 関心の強度こそ人間の人間としての実在性を支える内延量にあたるものであって、社会的・歴史的現実というものも、この関心にもとづく私たちの切...
あり得ない設定、でも十蘭なら 「黒い手帳」(久生十蘭)(「久生十蘭短篇選」)岩波文庫 自分の机の上にいま一冊の手帳が載っている。一輪挿しの水仙がそのうえに影を落としている。一見、変哲もない古手帳にすぎぬが、この中には、あ...
短編小説と随筆との中間にひろがる曖昧な領域の「旨味」 「永日小品」(夏目漱石)(「文鳥・夢十夜」)新潮文庫 雑煮を食って、書斎に引き取ると、しばらくして三四人来た。いずれも若い男である。その内の一人がフロックを着ている。...
リットン×岡本綺堂=最強オカルト・ユニット 「貸家」(リットン/岡本綺堂訳)(「世界怪談名作集」)河出文庫 「われわれは最近思いもつかないことに出逢ったよ。ロンドンのまんなかに化け物屋敷を見つけたぜ」「ほんとうか。何が出...