「野の少女」(島木健作)
昭和十年代の外側に立つ女性・原田玉枝 「野の少女」(島木健作)(「赤蛙」)新潮文庫 政治家・池尻家の女中・原田玉枝は、家人たちのわがままな振舞いや無理難題の中で、それに負けずに生きてきた。しかしもう一人の女中なかまのカズ...
昭和十年代の外側に立つ女性・原田玉枝 「野の少女」(島木健作)(「赤蛙」)新潮文庫 政治家・池尻家の女中・原田玉枝は、家人たちのわがままな振舞いや無理難題の中で、それに負けずに生きてきた。しかしもう一人の女中なかまのカズ...
野菊のメタファーと初恋の永遠の美化 「野菊の墓」(伊藤左千夫)(「野菊の墓 他七篇」)岩波文庫(「野菊の墓 他四篇」)岩波文庫(「野菊の墓」)角川文庫(「野菊の墓」)新潮文庫 「僕は野菊がだい好き。民さんも野菊が好き」「...
「死」という過酷な現実から浮かび上がる「生」 「百年文庫068 白」ポプラ社 百年文庫第68巻を読了しました。実は本書を読んだのではなく、三作品ともそれぞれの作家の作品集を通じて読みました。三作品をアンソロジーとして一つ...
「河童」は何のメタファーか? 「伝説」(火野葦平)(「百年文庫095 架」)ポプラ社 鈍重で、暗愚ではあるが、真摯で、傲岸で、怠惰な一匹の河童が棲んでいた。或るとき、かれは生命にかかわるような冒険をした後、仲間のあいだか...
その印象を虚構世界の疑似記憶と置き換える 「ダークあやつり人形印象記」(萩原朔太郎)(「ちくま日本文学036 萩原朔太郎」) 筑摩書房 英国人ダーク開場を知らせる鈴につれて、舞台に一人の外国人が現われて来た。白髪童顔の老...
家族の抱える「分け方の難しさと悲しさ」 「悲しき配分」(鷹野つぎ)(「百年文庫081 夕」)ポプラ社 「家を空っぽにもできませんでしょう。」然う云ったが、ひとりでに彼の女の眼には、自分のこの言葉を哀しむ涙がにじみ上ってき...
この新しい年をよろこべ! 「ともしい日の記念」(片山廣子) ちくま文庫 はじめに生れたのは歓びの霊である、この新しい年をよろこべ!ケルトの古い言ひつたへかもしれない、或るふるぼけた本の最後の頁に何のつながりもなくこの暦が...
自然災害が直撃するのはいつも貧しい人間 「雨」(広津柳浪)(「今戸心中 他二篇」)岩波文庫 今日で十日ばかりと云ふもの、一時間とは靑空を仰いだ事がない霖雨に、なべての人氣を腐らす中にも、其日々々に朝夕の料を稼がねばならぬ...
傳吉に見る「純愛」の一つの形 「變目傳」(広津柳浪)(「今戸心中 他二篇」)岩波文庫 容貌の醜い傳吉は、得意先の仁壽堂主人の妹・お濱に想いを寄せる。仁壽堂の徒弟・定二郎はそれを面白がり、お濱の「冩眞挾」を譲り渡す約束で、...
巴里を舞台に描かれる、人間のもっとも根源的な感情 「百年文庫063 巴」ポプラ社 百年文庫第63巻を読了しました。テーマは「巴」。といっても日本の伝統文様としての「巴(ともえ)」(コンマのような文様)のことではありません...