「野の少女」(島木健作)
昭和十年代の外側に立つ女性・原田玉枝 「野の少女」(島木健作)(「赤蛙」)新潮文庫 政治家・池尻家の女中・原田玉枝は、家人たちのわがままな振舞いや無理難題の中で、それに負けずに生きてきた。しかしもう一人の女中なかまのカズ...
昭和十年代の外側に立つ女性・原田玉枝 「野の少女」(島木健作)(「赤蛙」)新潮文庫 政治家・池尻家の女中・原田玉枝は、家人たちのわがままな振舞いや無理難題の中で、それに負けずに生きてきた。しかしもう一人の女中なかまのカズ...
穏やかに追い詰める!円熟の老優名探偵・中村雅楽 「等々力座殺人事件」(戸板康二)(「等々力座殺人事件 中村雅楽と迷宮舞台」)河出文庫 裏日本のK市を訪れた中村雅楽と「私」は、近隣のR町の由緒ある劇場・等々力座で起きた殺...
これから到来する危機を早送りしたその筋書き 「こちらニッポン…(上)(下)」(小松左京)角川文庫 自分以外の人間がすべて短時間のうちに突然消失する。不可思議な事態に巻き込まれた福井は茫然自失のまま一日を過ごす。浅い眠りの...
野菊のメタファーと初恋の永遠の美化 「野菊の墓」(伊藤左千夫)(「野菊の墓 他七篇」)岩波文庫(「野菊の墓 他四篇」)岩波文庫(「野菊の墓」)角川文庫(「野菊の墓」)新潮文庫 「僕は野菊がだい好き。民さんも野菊が好き」「...
殺人予告は占星術、神津恭介が挑む超常現象ミステリ 「死神の座」(高木彬光)角川文庫 軽井沢に向かった恭介は、列車の中で奇妙な女性と同席する。恭介を知っている女は、軽井沢で殺人事件が起きることを予言する。彼女の「占星学」に...
ベッド・ディテクティヴによる歴史ミステリ 「團十郎切腹事件」(戸板康二)(「楽屋の蟹 中村雅楽と日常の謎」) 河出文庫 「私」と層雲堂主人に、雅楽は八代目團十郎の切腹事件につながる、瑠璃五郎失踪事件の謎について語り始める...
「死」という過酷な現実から浮かび上がる「生」 「百年文庫068 白」ポプラ社 百年文庫第68巻を読了しました。実は本書を読んだのではなく、三作品ともそれぞれの作家の作品集を通じて読みました。三作品をアンソロジーとして一つ...
善悪の境目不明、横溝作品史上最大の混戦 「神変稲妻車」(横溝正史)(「髑髏検校」)講談社大衆文学館文庫(「髑髏検校」)角川文庫 田沼山城守の投げつけた馬の骨は弦之丞の額を割った。何者かが山城守の所望した名笛「みすず」をす...
「河童」は何のメタファーか? 「伝説」(火野葦平)(「百年文庫095 架」)ポプラ社 鈍重で、暗愚ではあるが、真摯で、傲岸で、怠惰な一匹の河童が棲んでいた。或るとき、かれは生命にかかわるような冒険をした後、仲間のあいだか...
反則技を繰り出す豪腕記者探偵・春木三郎 「抱きつく瀕死者」(小酒井不木)(「大雷雨夜の殺人」)春陽文庫 真夜中の銀座の裏町を歩いていた新聞記者・春木。「水!」と叫んで彼に抱きついてきた男は、なんとそのまま絶命してしまう。...