「いたずらな恋」(横溝正史)
好男子と若夫人の恋愛遊戯の行方は…? 「いたずらな恋」(横溝正史)(「空蟬処女」)角川文庫(「横溝正史ミステリ 短篇コレクション⑥」)柏書房 自他共に認める好男子の磯部富郎は、音楽会で近づきになった五十嵐夫人から、自宅...
好男子と若夫人の恋愛遊戯の行方は…? 「いたずらな恋」(横溝正史)(「空蟬処女」)角川文庫(「横溝正史ミステリ 短篇コレクション⑥」)柏書房 自他共に認める好男子の磯部富郎は、音楽会で近づきになった五十嵐夫人から、自宅...
屈折した自分を客観的に表現した「魔利像」 「薔薇くい姫」(森茉莉)(「薔薇くい姫/枯葉の寝床」) 講談社文芸文庫(「百年文庫067 花」)ポプラ社 魔利は、腎臓という持病持ちだが、この病気が魔利の体にとり憑いたのは十二の...
三色のレーンコート、この巧妙なトリック 「かめれおん」(横溝正史)(「刺青された男」)角川文庫(「横溝正史ミステリ 短篇コレクション③」)柏書房 親愛なる狭山耕作様。あの事件について、お互いに腹蔵のない意見を吐きあい、...
理屈で割り切れない女の情念 「屍を嘗めた話」(加能作次郎)(「世の中へ/乳の匂い」) 講談社文芸文庫 十日ばかり凪が続き、海は大漁旗を掲げた烏賊釣り船ばかりであった。ある日、出港前の空に怪しい雲が見られ、漁を見送った船が...
時代特有の「しなやかさ」と「たくましさ」 「ツンバ売りのお鈴」(舟橋聖一)(「百年文庫060 肌」)ポプラ社 執筆のために「私」がカンヅメにされた旅館。一度目の宿泊では仲居が数えた紙幣が二枚不足、二度目には財布が行方不明...
続「記者に覗かせ、読み手に覗かせる」 「続蘿洞先生」(谷崎潤一郎)(「潤一郎ラビリンスⅡ」)中公文庫 蘿洞先生が近頃奥さんを貰ったと云う噂がある。真偽は保證の限りでないが、しかし先生のことであるから、こっそり世間に知らせ...
「悪魔」、「彼」、そして「創造」をどう読み取るか? 「悪魔ドゥベモオ」(安部公房)(「題未定 安部公房初期短編集」) 新潮文庫(「安部公房全集001」)新潮社 人間よ。私の声を聞くがよい。私は人間の王だ。人間の運命だ。そ...
王道回帰へ、美術品を盗み出す二十面相 「夜光人間」(江戸川乱歩)ポプラ社 「夜光人間」(江戸川乱歩)(「江戸川乱歩全集第21巻」)光文社文庫 全身が銀色に光り、燃えるような真っ赤な目と口を持つ怪人・夜光人間。東京に現れた...
記者に覗かせ、読み手に覗かせる 「蘿洞先生」(谷崎潤一郎)(「潤一郎ラビリンスⅡ」)中公文庫 A雑誌の訪問記者は、蘿洞先生に面会するのは今日が始めてなのである。それで内々好奇心を抱いて、さっきから一時間以上も待っているの...