「焙烙の刑」(横溝正史)

由利・三津木の事件簿12

どんでん返しの末、あっという間に幕を閉じます。

「焙烙の刑」(横溝正史)
(「花髑髏」)角川文庫

「花髑髏」角川文庫 令和新版

「焙烙の刑」(横溝正史)
(「由利・三津木探偵小説集成2」)
 柏書房

「由利・三津木探偵小説集成2」柏書房

映画俳優・桑野は、
幼なじみの葭枝から
相談したいことがあると
呼び出される。
葭枝は夫である芸術家の瀬川と
うまくいっていないらしい。
葭枝は桑野に
夫からの手紙を見せ、
夫を救出してほしいと頼む。
その手紙は謎に満ちていた…。

横溝正史
由利・三津木コンビシリーズ
一作なのですが、
由利先生は一瞬しか登場せず、
三津木も最後の瞬間に
二人の救出に現れるのですが、
具体的にどのような方法で
危機を回避したのか描かれていません。
つまりまったく存在感がないのです。
いいのです。
このシリーズはそうした作品が
多いのですから。
気にしないで読むべきです。

【事件簿12 「焙烙の刑」】
〔事件捜査〕
由利麟太郎…私立探偵。
三津木俊助…新日報社記者。
〔事件関係者〕
桑野貝三
…日東映画のスター俳優。
 怪事件に巻き込まれ、
 友人の三津木に助力を乞う。
瀬川葭枝
…貝三のまた従妹。
 夫とうまくいっていないため、
 貝三を慕う。
瀬川直人
…葭枝の夫。芸術家。
 妻の葭枝を顧みず放蕩にふけ、
 事件に巻き込まれる。
降旗珠実
…貝三に近づいて来た謎の女。
 二十五六の美人。
「女首領」
…瀬川が監禁されていた現場にいた
 犯罪者集団の首領。
「顔に痣のある男」
…殺人もいとわない謎の男。
 顔中真っ黒な痣があり、
 木の義足をはめている。

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本作品の味わいどころ①
暗躍する犯罪組織~女首領の正体は

瀬川は謎の男たちに拉致監禁され、
身代金を要求されていたのです。
葭枝から預かった三万円を、桑野が
首領と見られる人物に手渡します。
その人物の破れた手袋からのぞいた
マニキュアの爪から、どうやら首領は
女性らしいことが分かります。
女首領率いる犯罪者集団。
もしや乱歩の「黒蜥蜴」!?
どんなスリリングな事件が
持ち上がるかと思えば…、
どんでん返しの末、
あっという間に幕を閉じます。

本作品の味わいどころ②
忍び寄る恐怖の影~痣の男の正体は

犯罪者集団には、さらに恐ろしい
「木の義足をはめた、顔じゅうに
痣のある男」がいるのだというのです。
殺人さえためらわない男の存在。
これが由利・三津木シリーズ特有の
化け物キャラ!?
どんな残虐な殺人事件が
起こるかと思えば…、
どんでん返しの末、
あっという間に幕を閉じます。

本作品の味わいどころ③
巻き込まれる桑野~怪事件の正体は

桑野の乗った車が突然パンク。
そこにさしかかった車が
彼を快く乗せていく。
が、その車を運転する女が
どうも怪しい。
まさか例の女首領か?
そうこうしているうちに
瀬川も葭枝も行方不明…。
桑野は単身、謎の女・降旗珠実の
屋敷へ乗り込むのですが、
あえなく敵の虜になってしまいます。
この状態から
乱歩ばりの拷問が始まるのか!?
絶体絶命のピンチかと思えば…、
どんでん返しの末、
あっという間に幕を閉じます。

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大きな犯罪組織が暗躍し、
凶悪な怪人物が恐怖を巻き起こし、
映画スターが役柄同様の大活躍を見せ、
とはならないところが
本作品の特徴です。
この「どんでん返し」こそ、
本作品の味わいどころなのです。

期待を裏切られた、などと
文句を言ってはいけません。
最後に登場する
「焙烙の刑」と題された絵画が
すべてを飲み込んで
物語は幕を閉じます。
ご一読あれ。

(2018.9.24)

〔娘のつくった動画もよろしく〕
こちらもどうぞ!

墓村幽の味わえ!横溝正史ミステリー

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(2024.4.26)

〔角川文庫刊「花髑髏」復刊について〕
2020年6月から放映される
「探偵・由利麟太郎」の第1話が
この「花髑髏」です。
テレビ化に合わせて角川文庫「花髑髏」も
めでたく復刊しました。
表紙デザインは
マイナー・チェンジしています。
※上の画像は復刊版、
 下の画像は旧刊版です。

「花髑髏」角川文庫 昭和旧版

(2020.6.15)

〔角川文庫「花髑髏」〕

〔「由利・三津木探偵小説集成2」〕
夜光虫
首吊船
薔薇と鬱金香
焙烙の刑
幻の女
鸚鵡を飼う女
花髑髏
迷路の三人
付録:夜光虫(未発表版)
編者解説(日下三造)

〔由利・三津木の事件簿〕

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〔柏書房「由利・三津木探偵小説集成」〕

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