「劉廣福」(八木義徳)
劉廣福のサクセス・ストーリーを味わいましょう 「劉廣福」(八木義徳)(「百年文庫048 波」)ポプラ社 実をいうと私は最初からこの男には特別の注意を払っていたのであった。常人の確実に二倍はあろうかと思われるその並はずれて...
劉廣福のサクセス・ストーリーを味わいましょう 「劉廣福」(八木義徳)(「百年文庫048 波」)ポプラ社 実をいうと私は最初からこの男には特別の注意を払っていたのであった。常人の確実に二倍はあろうかと思われるその並はずれて...
基本的にはミステリではなく、家族再生の物語 「夜行観覧車」(湊かなえ)双葉文庫 あのとき、ドアフォンが鳴らなければ、彩花に何かしていたかもしれない。たった一人の大切な娘のはずなのに、あの瞬間、まったく知らない他人、いや、...
怪奇小説!? 犯罪小説!? 幻想小説!? いや…、 「ダイヤモンドのレンズ」(オブライエン/南条竹則訳)(「不思議屋/ダイヤモンドのレンズ」) 光文社古典新訳文庫 「私」は、巫女の神託によって完全なる顕微鏡をつくる方法を...
モームらしい衝撃度大の結末が 「マッキントッシュ」(モーム/河野一郎訳)(「百年文庫047 群」)ポプラ社 彼はほんのしばらくの間、海に入って水遊びをした。泳ぐには浅すぎたが、サメが恐ろしいので、背の立たない深いところへ...
「結婚ってこんなものだっけ?」という違和感 「下宿屋」(ジョイス/安藤一郎訳)(「百年文庫052 婚」)ポプラ社 ポリーのそぶりがすこし変になりだした、そこでその青年は明らかに動揺しかけていた。ついに、頃合いよしと見定め...
わからないことこそが安部公房作品の味わいどころ 「天使」(安部公房)(「題未定 安部公房初期短編集」) 新潮文庫 無限を意味する灰色の六つの、いや五つ半の面と、半分の未来とに世界は仕切られている。お解りだろうか。実の所を...
常習性、いや中毒性すら持っている厄介な傑作群 「失脚/巫女の死」(デュレンマット/増本浩子訳) 光文社古典新訳文庫 デュレンマットは一九二一年生まれのスイスの作家です。主に劇作家として大活躍しました。特に五〇年代から六〇...
人間の存在の根幹に深く思いを巡らせるべき 「動物」(武田泰淳)(「百年文庫045 地」)ポプラ社 ナラ、カシ、クワ、コクワ、アケビ、ヤマブドウ、木の実の類がほとんど全滅です。食料欠乏に困り抜いた動物たちは、危険を冒して村...
どこまでもクール、リアル、ニヒル 「俊寛」(芥川龍之介)(「芥川龍之介全集4」)ちくま文庫 「俊寛」(芥川龍之介)(「羅生門・鼻」)新潮文庫 俊寛様の話ですか?俊寛様の話くらい世間に間違って伝えられた事は、まずほかにはあ...
誰にも教えず一人でこっそり愉しみたい作家 「帰宅」「小さな弟」「いちばん罪深い者」「ふたりの乞食」「強情な娘」「老人の死」(フィリップ/山田稔訳)(「百年文庫043 家」)ポプラ社 四年ぶりに家に帰ってきたラルマンジャは...