タグ: 高校生に薦めたい本
「チューリップの鉢」(オブライエン)
幽霊話、暗号解読、でも最後は愛情物語 「チューリップの鉢」(オブライエン/南條竹則訳)(「不思議屋/ダイヤモンドのレンズ」) 光文社古典新訳文庫 「私」が一夏を過ごした大邸宅は、恋人・アリスの祖父のヴァン・クーレン翁が所...
「屍を嘗めた話」(加能作次郎)
理屈で割り切れない女の情念 「屍を嘗めた話」(加能作次郎)(「世の中へ/乳の匂い」) 講談社文芸文庫 十日ばかり凪が続き、海は大漁旗を掲げた烏賊釣り船ばかりであった。ある日、出港前の空に怪しい雲が見られ、漁を見送った船が...
「希望のつくり方」(玄田有史)
「希望学」として体系化された、元気の出る一冊 「希望のつくり方」(玄田有史) 岩波新書 希望学の最大の特徴は、多くの人の希望にまつわる声に、何より耳を澄ましてきたことです。これが希望だと最初から大上段にかまえて決めつける...
「百年文庫057 城」
「城」のような堅固さと難解さ、そして溢れる滋味 「百年文庫057 城」ポプラ社 百年文庫第57巻を読了しました。本書のテーマは「城」。とはいえ、建築物としての「城」を主題とした作品群ではありません。それぞれ「城」と関係は...
「馬」(小島信夫)
ユーモアからシュール、そして底知れない恐怖感。 「馬」(小島信夫)(「アメリカン・スクール」)新潮文庫(「百年文庫059 客」)ポプラ社 妻・トキ子が家の増築を始めた。夫の「僕」に何の相談もなく。ところがそれは馬小屋なの...
「仲之町の大入道」(木内昇)
その文学的楽しみこそ、本作品の最大の味わいどころ 「仲之町の大入道」(木内昇)(「茗荷谷の猫」)文春文庫 仕事を得て東京にやってきた青年・松原は、下宿の大家から「東京に詳しくなる仕事」を紹介される。「日曜日なら」と安請け...
「豊かさの条件」(暉峻淑子)
私たちが目指すべき方向性を示した処方箋 「豊かさの条件」(暉峻淑子)岩波新書 政治・経済の世界がどうであれ、私の生活には関係ない。今日の生活はあしたも続く…。漫然とそう考えて生きていた人達も、日常生活をゆさぶるこの振動の...
「百年文庫053 街」
さまざまなドラマが創り出される「街」 「百年文庫053 街」ポプラ社 「感傷の靴 谷譲次」ああ、ヘンリイも日本人、俺も日本人――遠く故国を離れて二十有余年、ふわふわとその日を送っているように見えても、俺たちは矢張り日本人...
「婆やの話」(ギャスケル)
聖なるクリスマスに幽霊話? 「婆やの話」(ギャスケル/松岡光治訳)(「ギャスケル短篇集」)岩波文庫 「婆や」がロザモンド嬢を連れて移り住んだファーニヴァル館は、二人の老婦人とわずかな使用人だけの住む大きな屋敷だった。冬の...