「劉廣福」(八木義徳)
劉廣福のサクセス・ストーリーを味わいましょう 「劉廣福」(八木義徳)(「私のソーニャ/風祭」)講談社文芸文庫(「百年文庫048 波」)ポプラ社 実をいうと私は最初からこの男には特別の注意を払っていたのであった。常人の確実...
劉廣福のサクセス・ストーリーを味わいましょう 「劉廣福」(八木義徳)(「私のソーニャ/風祭」)講談社文芸文庫(「百年文庫048 波」)ポプラ社 実をいうと私は最初からこの男には特別の注意を払っていたのであった。常人の確実...
基本的にはミステリではなく、家族再生の物語 「夜行観覧車」(湊かなえ)双葉文庫 あのとき、ドアフォンが鳴らなければ、彩花に何かしていたかもしれない。たった一人の大切な娘のはずなのに、あの瞬間、まったく知らない他人、いや、...
探偵小説の魅力は探偵のキャラクターの魅力 「恐ろしい手紙」(グロラー/垂野創一郞訳)(「探偵ダゴベルトの功績と冒険」) 創元推理文庫 相談に訪れたグラハト嬢は、紳士詐欺師・フェルト博士から強請られていることを打ち明ける。...
怪奇小説!? 犯罪小説!? 幻想小説!? いや…、 「ダイヤモンドのレンズ」(オブライエン/南条竹則訳)(「不思議屋/ダイヤモンドのレンズ」) 光文社古典新訳文庫 「私」は、巫女の神託によって完全なる顕微鏡をつくる方法を...
モームらしい衝撃度大の結末が 「マッキントッシュ」(モーム/河野一郎訳)(「百年文庫047 群」)ポプラ社 彼はほんのしばらくの間、海に入って水遊びをした。泳ぐには浅すぎたが、サメが恐ろしいので、背の立たない深いところへ...
…と書いておいて何なのですが…、 「新聞の読み方」(岸本重陳) 岩波ジュニア新書 なぜ新聞を読むべきなのか。新聞はおもしろい。そしてテレビのニュースだけでは、あなたの必要は満たせない。新聞を広げれば、そして新聞をよく読め...
「赤毛」以上の衝撃が読み手を襲います 「だれがコマドリを殺したのか?」(フィルポッツ/武藤崇恵訳) 創元推理文庫 最愛の妻・ダイアナの死から一年半。ノートンの人生は好転の兆しを見せ、彼はかつて思いを寄せていたネリーと結婚...
読み手は薄々気づいてしまうのですが… 「長方形の箱」(ポー/渡辺温訳)(「ポー傑作集」)中公文庫 問題の箱は、長方形でした。長さが約六呎、幅が約二呎半――私は精密と言へる程、気をつけて観察しました。この形は甚だ特異なもの...
「結婚ってこんなものだっけ?」という違和感 「下宿屋」(ジョイス/安藤一郎訳)(「百年文庫052 婚」)ポプラ社 ポリーのそぶりがすこし変になりだした、そこでその青年は明らかに動揺しかけていた。ついに、頃合いよしと見定め...
わからないことこそが安部公房作品の味わいどころ 「天使」(安部公房)(「題未定 安部公房初期短編集」) 新潮文庫 無限を意味する灰色の六つの、いや五つ半の面と、半分の未来とに世界は仕切られている。お解りだろうか。実の所を...