「タール博士とフェザー教授の療法」(ポー)
狂気か、それともブラックユーモアか 「タール博士とフェザー教授の療法」(ポー/巽孝之訳)(「大渦巻への落下・灯台」)新潮文庫 南仏旅行中の「わたし」は、以前より関心を持っていたマイヤール氏経営の精神病院へ見学を申し入れる...
狂気か、それともブラックユーモアか 「タール博士とフェザー教授の療法」(ポー/巽孝之訳)(「大渦巻への落下・灯台」)新潮文庫 南仏旅行中の「わたし」は、以前より関心を持っていたマイヤール氏経営の精神病院へ見学を申し入れる...
探偵小説の源流は、こんなにも魅力に溢れた世界 「世界推理短編傑作集1」(江戸川乱歩編)創元推理文庫 「盗まれた手紙 ポオ」「助けてくれるんなら誰にだって五万フラン払うよ」という警視総監の言葉を聞いたデュパンは、小切手を受...
高校生探偵ボートルレの冒険と挫折 「奇岩城」(ルブラン/堀口大學訳) 新潮文庫 ルーベンスの油絵を盗もうとした窃盗団は、まんまと逃げおおせる。捜査にあたった予審判事は何も手がかりをつかむことができなかった。しかし、現場に...
ホームズが煽る秘密結社の「恐怖」 「オレンジの種五つ」(ドイル/日暮雅通訳)(「シャーロック・ホームズの冒険」) 光文社文庫 嵐の夜にホームズを訪れた青年は、奇怪な事件を打ち明ける。彼の伯父と父親が、正体不明の団体から五...
「書斎」と「若い女性の死体」、その顛末は… 「書斎の死体」(クリスティ/山本やよい訳) ハヤカワ文庫 「書斎に死体があるんです」。泣きじゃくるメイドの声で目覚めたバンドリー夫人。退役軍人である夫が書斎を確認すると、そこに...
探偵小説の魅力は探偵のキャラクターの魅力 「恐ろしい手紙」(グロラー/垂野創一郞訳)(「探偵ダゴベルトの功績と冒険」) 創元推理文庫 相談に訪れたグラハト嬢は、紳士詐欺師・フェルト博士から強請られていることを打ち明ける。...
「赤毛」以上の衝撃が読み手を襲います 「だれがコマドリを殺したのか?」(フィルポッツ/武藤崇恵訳) 創元推理文庫 最愛の妻・ダイアナの死から一年半。ノートンの人生は好転の兆しを見せ、彼はかつて思いを寄せていたネリーと結婚...
読み手は薄々気づいてしまうのですが… 「長方形の箱」(ポー/渡辺温訳)(「ポー傑作集」)中公文庫 問題の箱は、長方形でした。長さが約六呎、幅が約二呎半――私は精密と言へる程、気をつけて観察しました。この形は甚だ特異なもの...
タイパ最高探偵ダゴベルトの魅力 「奇妙な跡」(グロラー/垂野創一郞訳)(「世界推理短編傑作集2」) 創元推理文庫 産業クラブ会長グルムバッハから事件捜査の依頼を受けたダゴベルトは、会長夫人とともに現場へ急行する。途中、夫...
漱石がミステリを翻訳したらこうなるだろう 「〈ダイヤの頸飾り〉事件」(バー/田中鼎訳)(「ヴァルモンの功績」)創元推理文庫 吾輩はウジューヌ・ヴァルモン。もっともこう名乗ったところで、読者諸氏は何の感興も催すまい。ロンド...