「百年文庫095 架」
悲劇を冷徹に見つめる観察視線 「百年文庫095 架」ポプラ社 〔はじめに〕百年文庫第95巻を読了しました。収録三作品は、いずれも日常の枠組みを超えた異常事態や極限状態を扱っています。「伝説」では「人間消失」(河童消失?)...
悲劇を冷徹に見つめる観察視線 「百年文庫095 架」ポプラ社 〔はじめに〕百年文庫第95巻を読了しました。収録三作品は、いずれも日常の枠組みを超えた異常事態や極限状態を扱っています。「伝説」では「人間消失」(河童消失?)...
「密室犯罪」「人間消失」「犯人設定」すべてにおいて革新的 「黄色い部屋の謎」(ルルー/平岡敦訳) 創元推理文庫 深夜に令嬢のただならぬ悲鳴と銃声を聞きつけた博士は、使用人とともに寝室に向かう。鍵のかかっていたドアを破ると...
「狂気」を誰に向けて発信しているのか? 「狂人の手記」(ディケンズ小池滋訳)(「ディケンズ短篇集」)岩波文庫 そうだ!狂人の手記なのだ!何年も前は、狂人という言葉を聞いただけで、おれの心臓はどきんとしたものだ!だが、今で...
ミステリというシステムのバグを突くレドマンの企て 「完全犯罪」(レドマン/村上啓夫訳)(「世界推理短編傑作集3」) 創元推理文庫 「このことには疑念の余地がないと思うね」「完全犯罪は可能だよ。ただ、それには完全な犯人が必...
「私」はなぜ死ななければならなかったのか? 「一少女の告白」(プルースト/窪田般彌訳)(「楽しみと日々」)福武文庫 私がお話しするのはこれが最後というわけではありません。前にも申し上げましたが、惜しいところで死にそこねた...
どこかユーモラスで滑稽な「怪奇幻想小説」 「コーヒー沸かし」(ゴーチェ/田辺貞之助訳)(「死霊の恋・ポンペイ夜話 他三篇」) 岩波文庫 時計が十一時を打った。最後の振動がいつまでもひびいていた。そして、それがまったく消え...
「時」とは何か、「夢」とは何か、「庭」とは何か 「トムは真夜中の庭で」(ピアス/高杉一郎訳)岩波少年文庫 おじおばの住むアパートに預けられたトム。大時計が「13時」を告げたとき、彼は不思議な庭へと迷い込む。そこで少女ハテ...
ジェルーシャの手紙の軽やかさの裏に 「あしながおじさん」(ウェブスター/岩本正恵訳)新潮文庫 みなしごを大学へ進学させてくださる親切な評議員さまへあなたについてわたしが知っているのは、たった三つⅠ 背が高い。Ⅱ お金持ち...
「ファンタジー」を裏切るホラー演出 「ぼくが消えないうちに」(ハロルド/こだまともこ訳)ポプラ社 ラジャーは消えかけている。ラジャーのことを考えたり、思い出してくれたり、そこにいるように想像してくれたりするアマンダがいな...
本当の「自立」とは、他人にSOSを出せること 「飛ぶための百歩」(フェスタ/杉本あり訳)岩崎書店 五歳から光を失ったルーチョは、叔母のベアとともにアルプス山脈のドロミテ山塊へ登る。宿泊地である山小屋で、彼は同じ十四歳の少...