「チューリップの鉢」(オブライエン)
幽霊話、暗号解読、でも最後は愛情物語 「チューリップの鉢」(オブライエン/南條竹則訳)(「不思議屋/ダイヤモンドのレンズ」) 光文社古典新訳文庫 「私」が一夏を過ごした大邸宅は、恋人・アリスの祖父のヴァン・クーレン翁が所...
幽霊話、暗号解読、でも最後は愛情物語 「チューリップの鉢」(オブライエン/南條竹則訳)(「不思議屋/ダイヤモンドのレンズ」) 光文社古典新訳文庫 「私」が一夏を過ごした大邸宅は、恋人・アリスの祖父のヴァン・クーレン翁が所...
盲人探偵、使い分けする相棒二人 「ブルックベンド荘の悲劇」(ブラマ/井上勇訳)(「世界推理短編傑作集2」) 創元推理文庫 依頼人ホリヤーは、姉ミリセントが夫から殺されかけていることを、盲人探偵カラドスに打ち明ける。彼女は...
怪談、しかし「恐怖」より「悦楽」 「死霊の恋」(ゴーチェ/田辺貞之助訳)(「死霊の恋・ポンペイ夜話 他三篇」) 岩波文庫 「クラリモンド」(ゴーチェ/岡本綺堂訳)(「世界会談名作集」)河出文庫 新司祭に任じられた「わし」...
そこには殺人もなく、詐欺もなく、 「独身の貴族」(ドイル/日暮雅通訳)(「シャーロック・ホームズの冒険」) 光文社文庫 披露宴の席上から姿を消した花嫁。依頼人サイモン卿はやつれた顔でホームズに捜査を依頼する。卿との会談を...
「城」のような堅固さと難解さ、そして溢れる滋味 「百年文庫057 城」ポプラ社 百年文庫第57巻を読了しました。本書のテーマは「城」。とはいえ、建築物としての「城」を主題とした作品群ではありません。それぞれ「城」と関係は...
殺人事件をまったく解明できない「ぼく」 「三人の死体」(フィルポッツ/武藤崇恵訳)(「孔雀屋敷」)創元推理文庫 「三死体」(フィルポッツ/宇野利泰訳)(「世界推理短編傑作集3」) 創元推理文庫 西インド諸島バルバドス島に...
ハーディの頭脳の中の「運命の神」は、いったい 「呪われた腕」(ハーディ/河野一郎訳)(「呪われた腕」)新潮文庫 前夫が再婚するという話を聞き、冷静さを失うローダ。彼女は夜、その新妻が寝室に現れて胸の上に腰掛け、左手を見せ...
聖なるクリスマスに幽霊話? 「婆やの話」(ギャスケル/松岡光治訳)(「ギャスケル短篇集」)岩波文庫 「婆や」がロザモンド嬢を連れて移り住んだファーニヴァル館は、二人の老婦人とわずかな使用人だけの住む大きな屋敷だった。冬の...
そんなことができるのか?できたのです。 「ギルバート・マレル卿の絵」(ホワイトチャーチ/中村能三訳)(「世界推理短編傑作集2」) 創元推理文庫 列車の真ん中の一台が、運行中に消失するという不思議な事件が持ち上がる。問題の...
味わいどころはもちろん「ワクワク感」 「ファレサアの濱」(スティーブンスン/中村徳三郎訳)(「南海千一夜物語」)岩波文庫 初めてその島を見た時は夜とも朝ともつかなかった。月は西に沈もうとしていたが、まだ煌々として光り耀い...