「帰宅」「小さな弟」「いちばん罪深い者」「ふたりの乞食」「強情な娘」「老人の死」(フィリップ)
誰にも教えず一人でこっそり愉しみたい作家 「帰宅」「小さな弟」「いちばん罪深い者」「ふたりの乞食」「強情な娘」「老人の死」(フィリップ/山田稔訳)(「百年文庫043 家」)ポプラ社 四年ぶりに家に帰ってきたラルマンジャは...
誰にも教えず一人でこっそり愉しみたい作家 「帰宅」「小さな弟」「いちばん罪深い者」「ふたりの乞食」「強情な娘」「老人の死」(フィリップ/山田稔訳)(「百年文庫043 家」)ポプラ社 四年ぶりに家に帰ってきたラルマンジャは...
その奥行きの深さを十分に堪能すべき 「デイジー・ミラー」(H.ジェイムズ/小川高義訳)新潮文庫 スイス・ヴェヴェーで出会った美女・デイジーミラーは、今はローマに滞在していた。伯母からの手紙を受け取ったウィンターボーンはロ...
わずか9頁、息詰まる筋書きが超スピーディに展開 「流されて」(キロガ/田中志保子訳)(「百年文庫045 地」)ポプラ社 男は何かやわらかい物を踏みつけた。と、すぐに足にかみつかれたのが分かった。前の方へ跳んで、悪態をつき...
漱石がミステリを翻訳したらこうなるだろう 「〈ダイヤの頸飾り〉事件」(バー/田中鼎訳)(「ヴァルモンの功績」)創元推理文庫 吾輩はウジューヌ・ヴァルモン。もっともこう名乗ったところで、読者諸氏は何の感興も催すまい。ロンド...
霊体たちの真実と嘘に満ちた「供述」 「巫女の死」(デュレンマット/増本浩子訳)(「失脚/巫女の死」) 光文社古典新訳文庫 老いによる死を自覚し、その時を迎えようとしていた巫女・パニュキス。彼女の目の前に、次々と霊体が姿を...
昔語りと「わたし」の現実が、幻想的に重なり合う 「みかげ石」(シュティフター/藤村宏訳)(「百年文庫043 家」)ポプラ社 ある春のことだった。ひどい病気が突然、わしらのところにもやって来たのだ。そしてこのあたり一帯にす...
名探偵と対等に渡り合う切れ者警部登場 「ウィステリア荘」(ドイル/日暮雅通訳)(「シャーロック・ホームズ最後の挨拶」) 光文社文庫 「グロテスクな体験」をしたという人物・エクルズがホームズに調査を依頼する。親しくなった友...
その考えや生き方を大きく転換させている 「百年文庫037 駅」ポプラ社 「駅長ファルメライアー ロート」列車事故の現場に駆けつけた駅長・ファルメライアーは、担架に寝かされた女性に心を奪われる。回復した女...
きれい事で塗り固めるのではなく 「象を射つ」(オーウェル/高畠文夫訳)(「百年文庫047 群」)ポプラ社 しかし、そのとき、わたしは振り向いて、わたしのあとからついて来た群衆を眺めた。それは二千人を下らない大群衆で、しか...