「失脚/巫女の死 デュレンマット傑作選」(デュレンマット)
常習性、いや中毒性すら持っている厄介な傑作群 「失脚/巫女の死」(デュレンマット/増本浩子訳) 光文社古典新訳文庫 デュレンマットは一九二一年生まれのスイスの作家です。主に劇作家として大活躍しました。特に五〇年代から六〇...
常習性、いや中毒性すら持っている厄介な傑作群 「失脚/巫女の死」(デュレンマット/増本浩子訳) 光文社古典新訳文庫 デュレンマットは一九二一年生まれのスイスの作家です。主に劇作家として大活躍しました。特に五〇年代から六〇...
霊体たちの真実と嘘に満ちた「供述」 「巫女の死」(デュレンマット/増本浩子訳)(「失脚/巫女の死」) 光文社古典新訳文庫 老いによる死を自覚し、その時を迎えようとしていた巫女・パニュキス。彼女の目の前に、次々と霊体が姿を...
昔語りと「わたし」の現実が、幻想的に重なり合う 「みかげ石」(シュティフター/藤村宏訳)(「百年文庫043 家」)ポプラ社 ある春のことだった。ひどい病気が突然、わしらのところにもやって来たのだ。そしてこのあたり一帯にす...
その考えや生き方を大きく転換させている 「百年文庫037 駅」ポプラ社 「駅長ファルメライアー ロート」列車事故の現場に駆けつけた駅長・ファルメライアーは、担架に寝かされた女性に心を奪われる。回復した女...
強い衝撃、そして常習性。中毒覚悟でご賞味を 「故障」(デュレンマット/増本浩子訳)(「失脚/巫女の死」) 光文社古典新訳文庫 営業中に車が故障したトラープスは、修理工場のある村に泊まることにする。屋敷の主人は快く彼の宿泊...
さて、これはいったいどこの国のこと? 「失脚」(デュレンマット/増本浩子訳)(「失脚/巫女の死」) 光文社古典新訳文庫 とある国家の政治局員会議。Nに続いて、参加者が次々に集まってくる。だが、彼らの様子はいつもとは違うよ...
それを「愚か」と呼ぶか、純粋な人間性の発露と捉えるか 「駅長ファルメライアー」(ロート/渡辺健訳)(「百年文庫037 駅」)ポプラ社 列車事故の現場に駆けつけた駅長・ファルメライアーは、担架に寝かされた女性に心を奪われる...
四者四様、ハイゼの描く「娘」 「片意地娘 他三篇」(ハイゼ/関泰祐訳) 岩波文庫 「片意地娘」若い船頭・アントニーノは、町娘・ラウレラに想いを寄せる。しかし彼女は彼の好意を受け入れようとしない。父に苦しめられた母を見て、...
「冥」の意味、そして「冥利」の意味するところ 「百年文庫080 冥」ポプラ社 「メルヴィル バイオリン弾き」友人・スタンダードに紹介されたホートボーイは、明るい好人物だったが、直前に悲嘆に暮れていた「ぼく」は、その男の屈...
いい男といい女が登場する映画のよう 「高嶺の乙女」(ハイゼ/関泰祐訳)(「片意地娘 他三篇」)岩波文庫 高嶺にある牧人村・トレッピの家の一つに、密輸入者たちとともに一人の紳士・フィリッポが宿を願い出た。彼が眠りにつこうと...