「百年文庫057 城」
「城」のような堅固さと難解さ、そして溢れる滋味 「百年文庫057 城」ポプラ社 百年文庫第57巻を読了しました。本書のテーマは「城」。とはいえ、建築物としての「城」を主題とした作品群ではありません。それぞれ「城」と関係は...
「城」のような堅固さと難解さ、そして溢れる滋味 「百年文庫057 城」ポプラ社 百年文庫第57巻を読了しました。本書のテーマは「城」。とはいえ、建築物としての「城」を主題とした作品群ではありません。それぞれ「城」と関係は...
その計算され尽くした、緻密な筋書きの妙 「ノヴェレ」(ゲーテ/小牧建夫訳)(「百年文庫057 城」)ポプラ社 火の手の広がる市場へと向かう公爵夫人と従者ホノーリオの前に現れた猛獣・虎。混乱する市場の見世物小屋から逃げ出し...
シュトルムが鏤めた「手掛かり」こそ味わいどころ 「広場のほとり」(シュトルム/関泰祐訳)(「大学時代・広場のほとり 他四篇」) 岩波文庫 彼は診療記録の載っている四つ折版の一冊をぬき出した。彼があけたページには、開業早々...
何を「巡」るのか?日常とは異なる、幻想的な世界 「百年文庫054 巡」ポプラ社 「アトランティス物語 ノヴァーリス」年老いた国王によって大切に育てられた美しい姫は、そのあまりの高貴さゆえ、婿になるべき王子が...
それはあたかもみずうみの水面の静けさにも似て 「みずうみ」(シュトルム)(松永美穂訳)(「みずうみ/三色すみれ/ 人形使いのポーレ」) 光文社古典新訳文庫(関泰祐訳)(「みずうみ 他四篇」)岩波文庫(高橋義孝訳)(「み...
で、結局、描かれているのは何か? 「ポルトガルの女」(ムシル/川村二郎訳)(「百年文庫057 城」)ポプラ社 近居に居をかまえる貴族とは姻戚関係をむすばないのがケッテン一門のしきたりだった。彼らは遠方から、しかも裕福な家...
抽象世界、詩的世界、幻想的世界 「アトランティス物語」(ノヴァーリス/高橋英夫訳)(「百年文庫054 巡」)ポプラ社 年老いた国王によって大切に育てられた美しい姫は、そのあまりの高貴さゆえ、婿になるべき王子が見つからぬま...
描かれているのは「人間の暮らし」 「百年文庫043 家」ポプラ社 「帰宅 フィリップ」四年ぶりに家に帰ってきたラルマンジャは、何事もなかったかのように妻や子どもたちに迎え入れられる。しかし、その後にやって来たかつての知り...
常習性、いや中毒性すら持っている厄介な傑作群 「失脚/巫女の死」(デュレンマット/増本浩子訳) 光文社古典新訳文庫 デュレンマットは一九二一年生まれのスイスの作家です。主に劇作家として大活躍しました。特に五〇年代から六〇...
霊体たちの真実と嘘に満ちた「供述」 「巫女の死」(デュレンマット/増本浩子訳)(「失脚/巫女の死」) 光文社古典新訳文庫 老いによる死を自覚し、その時を迎えようとしていた巫女・パニュキス。彼女の目の前に、次々と霊体が姿を...