「青蛇の帯皮」(森下雨村)
全篇に竹中英太郎の妖しげな挿絵が満載 「青蛇の帯皮」(森下雨村)(「挿絵叢書 竹中英太郎(二)」)皓星社 かつては全国に及ぶまで、梟名高く夢魔のごとく世人を脅かした「幽霊盗賊」百面相の鮫崎仙助が忽焉として消え去ってから幾...
全篇に竹中英太郎の妖しげな挿絵が満載 「青蛇の帯皮」(森下雨村)(「挿絵叢書 竹中英太郎(二)」)皓星社 かつては全国に及ぶまで、梟名高く夢魔のごとく世人を脅かした「幽霊盗賊」百面相の鮫崎仙助が忽焉として消え去ってから幾...
すっきりしたリライト、その「減量」が効果を発揮 「魔術師(少年探偵版)」(江戸川乱歩) ポプラ社 実業家の福田のもとに届く連続数字は殺人予告か!?厳重な警戒の網をかいくぐって凶行は行われた。警備の巡査とともに甥の二郎が寝...
明智、まさかの誘拐そして死亡 「魔術師」(江戸川乱歩)(「江戸川乱歩全集第6巻」)光文社文庫 実業家の福田のもとに届く連続数字は殺人予告か!?厳重な警戒の網をかいくぐって凶行は行われた。警備の巡査とともに甥の二郎が寝室を...
「僕」のつぶやきは何に対してのものなのか? 「憎悪」(安部公房)(「題未定 安部公房初期短編集」) 新潮文庫(「安部公房全集001」)新潮社 さて、更めて言うが僕が憎んだように僕は君から憎まれた。そのことについて君は何時...
最後に成功を収めるヴァルモン 「チゼルリック卿の遺産」(バー/田中鼎訳)(「ヴァルモンの功績」)創元推理文庫 ヴァルモンはチゼルリック卿から、これまで経験したことのない種類の依頼を受ける。成功すれば大きな報酬があるが、解...
金田一が登場せずともやはり傑作 「車井戸は何故軋る」(横溝正史)(「車井戸は何故軋る」)東京創元社(「横溝正史探偵小説 コレクション③」)出版芸術社 K村の名家・本位田家の長男・大助が、両眼を失った状態で戦地から帰還し...
ファンタジーは心の栄養です。 「春の窓」(安房直子)講談社文庫 「私」が森でつくるジャムは、味はけっして悪くはないはずなのに、一つも売れない。ある夜、小屋の中に一匹の牝鹿がいて、おいしそうにジャムを食べていた。牝鹿はジャ...
この「トンデモ設定」こそが味わいどころ 「大暗室(少年探偵版)」(江戸川乱歩) ポプラ社 「きみは生きていたのか…?」大曾根は驚いた表情でその男の顔を見た。それはボートの中で撃ち殺したはずの三国船員だった。三国は大曾根の...
読み手を幻想世界へと強引に拉致監禁 「大暗室」(江戸川乱歩)(「江戸川乱歩全集第10巻」)光文社文庫 有明男爵の遺児・有村清と、男爵を殺害した悪人大曾根五郎の息子・大野木隆一とは、異父兄弟であった。有村は正義の騎士として...
至極真っ当な遺言状、それゆえの読めない展開 「葬儀を終えて」(クリスティ/加島祥造訳) ハヤカワ文庫 「だって、リチャードは殺されたんでしょう?」コーラの一言は、リチャードの葬儀に集まった遺族の心をかき乱す。遺言執行者エ...