「人間修行」(安部公房)
行き着く先はやはり「人間とはなんぞや?」 「人間修行」(安部公房)(「安部公房全集007」)新潮社 あまりにも目立たない存在であるため同僚から「ヒラメ」と綽名されている平木は、ある時、自身に取り憑いている幽霊の姿が見える...
行き着く先はやはり「人間とはなんぞや?」 「人間修行」(安部公房)(「安部公房全集007」)新潮社 あまりにも目立たない存在であるため同僚から「ヒラメ」と綽名されている平木は、ある時、自身に取り憑いている幽霊の姿が見える...
ベタな展開にみえながら…「幽霊」とはなんぞや? 「幽霊の墓」(安部公房)(「安部公房全集006」)新潮社 希望を失った若い男女が自殺した。男は片足が鉄の義足だったために無事沈んだが、女は助け上げられる。幽霊となった男は、...
わからないことこそが安部公房作品の味わいどころ 「天使」(安部公房)(「題未定 安部公房初期短編集」) 新潮文庫 無限を意味する灰色の六つの、いや五つ半の面と、半分の未来とに世界は仕切られている。お解りだろうか。実の所を...
安部の思考の行く先を想像する愉しみ 「飛ぶ男」「さまざまな父」(安部公房)(「飛ぶ男」)新潮文庫 ある夏の朝、たぶん四時五分ごろ、氷雨本町二丁目四番地の上空を人間そっくりの物体が南西方向に滑走していった。月明かりを背にし...
その考えや生き方を大きく転換させている 「百年文庫037 駅」ポプラ社 「駅長ファルメライアー ロート」列車事故の現場に駆けつけた駅長・ファルメライアーは、担架に寝かされた女性に心を奪われる。回復した女...
遠藤周作の文学的原点ともいえる二作品 「白い人」「黄色い人」(遠藤周作)(「白い人・黄色い人」)新潮文庫 母親から禁欲的な生活を強いられてきた「私」は、十二歳の頃、女中が老犬を虐待する光景に魅せられる。ナチによる占領下の...
湖面に浮かび上がった気嵐のような美しさ 「百年文庫029 湖」ポプラ社 「冬の夢 フィツジェラルド」奔放な性格のジューディに振り回され続けたデクスターは、その熱が冷めた頃、貞淑な娘・アイリーンとの婚約に踏み切る。しかしあ...
政治家の、選挙区民に対する釈明のような 「老村長の死」(安部公房)(「安部公房全集001」)新潮社 「諸君は私を罪人だと云う。すかし一体、私が何をしたでありましょうか。私は村長として、我が最も愛す可き村人の為を思ってした...
時代に対する安部の冷めた視線 「手」(安部公房)(「水中都市・デンドロカカリヤ」) 新潮文庫 他の道はなかった。おれは「手」に向って真っすぐ走り、いくらかの肉と血をけずり取って、そのまま通り抜け、街路樹の幹につきささって...
自身の心の靄やわだかまりまで解決してしまう名探偵 「グリーン車の子供」(戸板康二)(「百年文庫037 駅」)ポプラ社 老優・中村雅楽は七年ぶりの出演依頼を受けたことを「私」に明かす。しかし子役が気に入らなかったために返事...