「書斎の死体」(クリスティ)
「書斎」と「若い女性の死体」、その顛末は… 「書斎の死体」(クリスティ/山本やよい訳) ハヤカワ文庫 「書斎に死体があるんです」。泣きじゃくるメイドの声で目覚めたバンドリー夫人。退役軍人である夫が書斎を確認すると、そこに...
「書斎」と「若い女性の死体」、その顛末は… 「書斎の死体」(クリスティ/山本やよい訳) ハヤカワ文庫 「書斎に死体があるんです」。泣きじゃくるメイドの声で目覚めたバンドリー夫人。退役軍人である夫が書斎を確認すると、そこに...
行き着く先はやはり「人間とはなんぞや?」 「人間修行」(安部公房)(「安部公房全集007」)新潮社 あまりにも目立たない存在であるため同僚から「ヒラメ」と綽名されている平木は、ある時、自身に取り憑いている幽霊の姿が見える...
味わいどころはずばり、「鈴木君」のキャラクター 「求婚者の話」(久米正雄)(「学生時代」)旺文社文庫 「求婚者の話」(久米正雄)(「百年文庫052 婚」)ポプラ社 単刀直入を身上とする大学生「鈴木君」は、窓下を眺めていて...
漱石はいったい何を意図していたのか? 「趣味の遺伝」(夏目漱石)(「倫敦塔・幻影の盾」)新潮文庫 若い女だ!と余は覚えず口の中で叫んだ。背景が北側の日影で、黒い中に女の顔が浮き出したように白く映る。眼の大きな頬の緊った領...
圧倒的なビジュアルの力で迫り来る横溝正史像 「探偵小説の鬼 横溝正史」平凡社 圧倒的な筆力で都会風コント、耽美趣味の物語、冒険活劇、捕物帳、伝奇ロマン、本格探偵小説など、時代が求める創作を発表し続けた作家・横溝正史。日本...
作品自体が「妻譲渡事件」の「劇中劇」か? 「呪はれた戯曲」(谷崎潤一郎)(「潤一郎ラビリンスⅧ」)中公文庫 お前の命と己の命と、孰方が貴いかと云えば、己の命の方が貴い。お前は何の働きも自覚もない平凡な女だ。己は此れでも才...
二人の思いのすれ違う都・ローマ 「くすり指」(ギッシング/小池滋訳)(「百年文庫050 都」)ポプラ社 伯父とともにローマに滞在するケリン嬢は、朝食のテーブルで知り合った英国人青年ライトンに惹かれていく。ケリン嬢はこのま...
日本語にぎっしり詰まっている不思議や魅力 「日本語はおもしろい」(柴田武) 岩波新書 たのしい日本語の話題十五章は、構造をもった「言語」と、それの時代による「変動」、それらの中心にいる「人間」、この三つのことにしぼられる...
ヤング神津恭介の解き明かす人間消失 「わが一高時代の犯罪」(高木彬光)(「わが一高時代の犯罪」)角川文庫 一高本館時計台を舞台にして行われた寮生による肝試し。二番目に登った妻木は忽然と姿を消す。残されていたのは本人の砂時...
ベタな展開にみえながら…「幽霊」とはなんぞや? 「幽霊の墓」(安部公房)(「安部公房全集006」)新潮社 希望を失った若い男女が自殺した。男は片足が鉄の義足だったために無事沈んだが、女は助け上げられる。幽霊となった男は、...