「不死蝶(雑誌連載版)」(横溝正史)
作品と作者・横溝に、より接近することができる 「不死蝶(雑誌連載版)」(横溝正史)(「横溝正史探偵小説選Ⅴ」)論創社 信州射水を訪れたブラジルの大富豪の養女・マリ。彼女の母は23年前にこの地で鍾乳洞殺人事件を起こした女・...
作品と作者・横溝に、より接近することができる 「不死蝶(雑誌連載版)」(横溝正史)(「横溝正史探偵小説選Ⅴ」)論創社 信州射水を訪れたブラジルの大富豪の養女・マリ。彼女の母は23年前にこの地で鍾乳洞殺人事件を起こした女・...
それは「作家谷崎誕生」の瞬間と重なる 「潤一郎ラビリンスⅢ」(谷崎潤一郎) 中公文庫 「The Affair of Two Watches」「つまらんさ!そんな事をしたって!其れよりは多勢引っ張って行ってウント牛肉でも食...
突如として運命は敵意をあらわにし 「燈台守」(シェンキェヴィチ/吉上昭三訳)(「百年文庫048 波」)ポプラ社 わたしはくたくたに疲れ、なにがなんだかさっぱりわかりません。おわかりのように、いろんな目に会ってまいりまして...
本作品の「わからなさ」を味わう 「ヘロディアス」(フローベール/谷口亜沙子訳)(「三つの物語」)光文社古典新訳文庫 娘は上へとあがってゆき、わずかに舌足らずな発音であどけなく、こう口にしたのだった。「ここへ持ってきてくだ...
あれっ、チェーホフってあの文豪の? 「安全マッチ」(チェーホフ/池田健太郎訳)(「世界推理短編傑作集1」) 創元推理文庫 主人が殺されたという通報に、予審判事とその助手兼書記の青年が捜査を開始する。現場に残されていた安全...
「書簡体形式」「少女の自殺」「心理的サスペンス」 「少女地獄」(夢野久作)(「少女地獄」)角川文庫 妾が息を引き取りましたならば、眼を閉じて、口を塞ぎましたならば、今まで妾が見たり聞いたり致しました事実は皆、あとかたもな...
描かれているのは「人間の暮らし」 「百年文庫043 家」ポプラ社 「帰宅 フィリップ」四年ぶりに家に帰ってきたラルマンジャは、何事もなかったかのように妻や子どもたちに迎え入れられる。しかし、その後にやって来たかつての知り...
2024年の現実を見事に投影している 「1984」(オーウェル/田内志文訳) 角川文庫 歴史の改竄業務を担当していたウィンストンは、社会の在り方に疑念を覚える。そんな中で、秘密警察と思われていた女性・ジュリアから愛の告白...
「書斎」と「若い女性の死体」、その顛末は… 「書斎の死体」(クリスティ/山本やよい訳) ハヤカワ文庫 「書斎に死体があるんです」。泣きじゃくるメイドの声で目覚めたバンドリー夫人。退役軍人である夫が書斎を確認すると、そこに...
行き着く先はやはり「人間とはなんぞや?」 「人間修行」(安部公房)(「安部公房全集007」)新潮社 あまりにも目立たない存在であるため同僚から「ヒラメ」と綽名されている平木は、ある時、自身に取り憑いている幽霊の姿が見える...