「倫敦塔・幻影の盾」(夏目漱石)
漱石の初期短篇は、わかりません。 「倫敦塔・幻影の盾」(夏目漱石) 新潮文庫 倫敦塔を見物した事がある。その後再び行こうと思った日もあるが止めにした。人から誘われた事もあるが断った。一度で得た記憶を二返目に打壊わすのは惜...
漱石の初期短篇は、わかりません。 「倫敦塔・幻影の盾」(夏目漱石) 新潮文庫 倫敦塔を見物した事がある。その後再び行こうと思った日もあるが止めにした。人から誘われた事もあるが断った。一度で得た記憶を二返目に打壊わすのは惜...
漱石はいったい何を意図していたのか? 「趣味の遺伝」(夏目漱石)(「倫敦塔・幻影の盾」)新潮文庫 若い女だ!と余は覚えず口の中で叫んだ。背景が北側の日影で、黒い中に女の顔が浮き出したように白く映る。眼の大きな頬の緊った領...
アーサー王の物語、いや、ランスロットの情痴話 「薤露行」(夏目漱石)(「倫敦塔・幻影の盾」)新潮文庫 百、二百、簇がる騎士は数をつくして北の方なる試合へと急げば、石に古りたるカメロットの館には、只王妃ギニヴィアの長く牽く...
仕方ないので、そのわからなさ加減を味わう 「一夜」(夏目漱石)(「倫敦塔・幻影の盾」)新潮文庫 三人は如何なる身分と素性と性格を有する?それも分らぬ。三人の言語動作を通じて一貫した事件が発展せぬ?人生を書いたので小説をか...
盾の力なのか、展開する不思議な世界 「幻影の盾」(夏目漱石)(「倫敦塔・幻影の盾」)新潮文庫 盾の形は望の夜の月の如く丸い。鋼で饅頭形の表を一面に張りつめてあるから、輝やける色さえも月に似ている。縁を繞りて小指の先程の鋲...
100年経っても色あせない魅力を味わいましょう 吾輩は猫である。名前はまだ無い。どこで生れたか頓と見当がつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。吾輩はここで始めて人間というものを見...
スタイルとしては探偵小説、いやミステリです。 「彼岸過迄」(夏目漱石)新潮文庫 敬太郎は、大学の友人の叔父・田口に就職斡旋を依頼する。田口は初対面である敬太郎の人物を確かめるため、ある仕事を命じる。それは、小川町の停車所...
断言できます。本作品は「長編小説」です。 「彼岸過迄」(夏目漱石)新潮文庫 流しの方はからりと片づ付いて、小桶一つ出ていない。浴槽の中に一人横向になって、硝子越に射し込んでくる日光を眺めながら、呑気そうにじゃぶじゃぶやっ...
改めて漱石作品の魅力に気づかされました 「文豪ナビ 夏目漱石」(新潮文庫編) 新潮文庫 漱石が残したたくさんの名作は、一つ一つが、新しい世界へ読者を導く「門」だ。「生きる」ことの道程にそびえ立つ「門」。いくつもの門をくぐ...
登場人物の顔はすべてデフォルメ 「漫画 吾輩は猫である」(近藤浩一路) 岩波文庫 吾輩の主人はさる学校の教師である。学校から帰って来ると一日書斎に閉じ籠るのが癖だ。大変勉強家のようだが事実は正反対で、吾輩は時々忍び足で、...