「続蘿洞先生」(谷崎潤一郎)
続「記者に覗かせ、読み手に覗かせる」 「続蘿洞先生」(谷崎潤一郎)(「潤一郎ラビリンスⅡ」)中公文庫 蘿洞先生が近頃奥さんを貰ったと云う噂がある。真偽は保證の限りでないが、しかし先生のことであるから、こっそり世間に知らせ...
続「記者に覗かせ、読み手に覗かせる」 「続蘿洞先生」(谷崎潤一郎)(「潤一郎ラビリンスⅡ」)中公文庫 蘿洞先生が近頃奥さんを貰ったと云う噂がある。真偽は保證の限りでないが、しかし先生のことであるから、こっそり世間に知らせ...
記者に覗かせ、読み手に覗かせる 「蘿洞先生」(谷崎潤一郎)(「潤一郎ラビリンスⅡ」)中公文庫 A雑誌の訪問記者は、蘿洞先生に面会するのは今日が始めてなのである。それで内々好奇心を抱いて、さっきから一時間以上も待っているの...
危険な水域に、覚悟の上で 「潤一郎ラビリンスⅩ」(谷崎潤一郎) 中公文庫 「金と銀」妥協の道は断じて有り得ない!己が飽く迄も生きて、発達して、天才の境地に伸びて行くには、青野が此の世から居なくならなければ駄目なのだ。彼が...
本作品集は、日本ミステリの源流に位置する 「潤一郎ラビリンスⅧ」(谷崎潤一郎) 中公文庫 「途上」会社を終えての帰宅途上で、湯川は私立探偵・安藤から声をかけられる。彼は近々結婚する予定の妻の実家からの身辺調査と思い、渋々...
重ならない、変身する、固定される、二人 「友田と松永の話」(谷崎潤一郎)(「潤一郎ラビリンスⅩ」)中公文庫 小説家である「私」は、見知らぬ女性から一通の手紙を受け取る。その女性は、たびたび家出し、行方知れずとなった夫を探...
いけないいけない、近づきすぎてはいけない。 「AとBの話」(谷崎潤一郎)(「潤一郎ラビリンスⅩ」)中公文庫 AとBと云うのは二人の青年の名であるが、同時に又、この二人が持っていた全く異った二つの「魂」の名でもある。だから...
それは「作家谷崎誕生」の瞬間と重なる 「潤一郎ラビリンスⅢ」(谷崎潤一郎) 中公文庫 「The Affair of Two Watches」「つまらんさ!そんな事をしたって!其れよりは多勢引っ張って行ってウント牛肉でも食...
作品自体が「妻譲渡事件」の「劇中劇」か? 「呪はれた戯曲」(谷崎潤一郎)(「潤一郎ラビリンスⅧ」)中公文庫 お前の命と己の命と、孰方が貴いかと云えば、己の命の方が貴い。お前は何の働きも自覚もない平凡な女だ。己は此れでも才...
いけないいけない、同化してはいけない 「金と銀」(谷崎潤一郎)(「潤一郎ラビリンスⅩ」)中公文庫 妥協の道は断じて有り得ない!己が飽く迄も生きて、発達して、天才の境地に伸びて行くには、青野が此の世から居なくならなければ駄...
ホラーなのか、単なる法螺話なのか 「柳湯の事件」(谷崎潤一郎)(「潤一郎ラビリンスⅧ」)中公文庫 「僕は今夜、人殺しの大罪を犯して居るかも知れません。自分では全く分らないのです。人殺しがあったのはほんとうで、下手人は僕で...