「千鳥(作品集)」(鈴木三重吉)
まるで暗号を読み解くかのような 「千鳥」(鈴木三重吉)岩波文庫 夏に避暑に訪れて以来、二度目となるある小さな島へやってきた「自分」。逗留先の小母さんの家に上がると、夏にはいなかった少女・お藤さんがいた。彼女とは以前からの...
まるで暗号を読み解くかのような 「千鳥」(鈴木三重吉)岩波文庫 夏に避暑に訪れて以来、二度目となるある小さな島へやってきた「自分」。逗留先の小母さんの家に上がると、夏にはいなかった少女・お藤さんがいた。彼女とは以前からの...
家船の若い男女の、実らぬ恋の悲しい物語 「黑髮」(鈴木三重吉)(「千鳥 他四篇」)岩波文庫 私が戀をした女はおふさと言つた。おふさが船は酒、煮肴、壽司などを賣つてゐた。大きな浦へ着けた時には、おふさが船は石崖の上に蓆の小...
作者の思いが包み隠すようにしてしまわれている 「烏物語」(鈴木三重吉)(「千鳥 他四篇」)岩波文庫 小さい自分は、何の譯も知らなかつたゆゑ、仄白い水に臨んだ、生絲を取る古里に、母の伯母の家を自分の家のつもりでゐた。それは...
三重吉作品にしばしば登場する「お姉さん」 「おみつさん」(鈴木三重吉)(「千鳥」)岩波文庫 「丁さん」と、誰だか、白粉を附けた若いをばさんが、塵取を提げて出て来る。「丁さんでがんせうがの。まあまあすつかり見違へた。こつち...
「日本昔話」的に読むのが健全な受け止め方 「古事記物語」(鈴木三重吉) ハルキ文庫 世界ができたそもそものはじめ。まず天と地とが出来上がりますと、それといっしょにわれわれ日本人のいちばんご先祖の、天御中主神とおっしゃる神...
もしかしたら何かの暗喩なのでしょうか 「山彦」(鈴木三重吉)(「千鳥」)岩波文庫 病身の姉を訪ねた「自分」は、その山間の村で五日間の夏を過ごす。奥の間のの天井裏から一束の古い手紙を見つけた「自分」は、姉にも告げずにそれを...
はかない「俤」を辿る作品三篇 「百年文庫061 俤」ポプラ社 「山の手の子 水上瀧太郎」お屋敷の子の「私」は町っ子と遊ぶことを禁じられていた。しかし、一人遊びに飽きた「私」は、下町の子たちとすぐに仲良くなる。そして魚屋の...
子ども向けの童話がさらにわかりにくい 「ぽっぽのお手帳」(鈴木三重吉) (「日本児童文学名作集(上)」) 岩波文庫 すず子のぽっぽは、二人とも小さな小さな赤い手帳をもっています。この二人は、「黒」よりもにゃァにゃァより...
明治文壇の師弟による深遠な往復書簡 「赤い鳥」(鈴木三重吉)青空文庫 冷吉は自分が読んだ小説中の 「赤い鳥を逃がして 出て行く女」のことを考えていた。 ある日、家出をした冷吉は、 災難に遭遇し、眼を負傷、 そのまま入院す...
グレツチエンに戀しているちょっと危ない青年 「赤い鳥」(鈴木三重吉)青空文庫 冷吉は自分が読んだ小説中の 「赤い鳥を逃がして 出て行く女」のことを考えていた。 ある日、家出をした冷吉は、 災難に遭遇し、眼を負傷、 そのま...