
地方発の日本再生という希望
「地方消滅 創生戦略篇」
(増田寛也・冨山和彦)中公新書
人口減少は当面止まらない。
地方は、安易に
「人口増加」や「人口維持」
「地域活性化」という言葉を
口にするのではなく、
人口が「減る」、さらには
「急激に減る」ことを前提に
将来を展望し、住民の生活の質を
維持・向上していくための
戦略を…。
先日、
増田寛也氏の「地方消滅」を再読し、
その2015年段階における
味わいどころを紹介しました。
さっそくその続編である本書
「地方消滅 創生戦略篇」を読みました。
やはり衝撃的な内容が
いくつも登場します。
意識の転換をうながされる、
刺激的な一冊です。
〔本書の構成〕
まえがき
第1章 消滅危機の実態とチャンス
第2章 L型大学から地方政治まで
第3章 地方発イノベーションの時代
あとがき
本書の味わいどころ①
地方消滅という不都合な真実
2014年出版の前作「地方消滅」。
発刊当初は懐疑論も多く、
反駁本も多数登場しました。
ところが先日、前作を再読し、
巻末の資料を見て驚きました。
「全国市区町村別の将来推計人口」として
36頁にわたって
掲載されているデータについて、
私の住む地域(秋田県横手市)について
見てみると、
記載されている予想値から導かれる
2015年段階の人口は、
実際の現在の人口と
ほぼ同じだったのです。
15年が経過し、
前作で予見されたことが
現実に進行していることを
実感しました。
書かれてあることはまさに
「不都合な真実」だったのです。
本書にも改めてその
「不都合な真実」が説明されてあります。
それも対談形式で、
より具体的に踏み込んだ内容から
述べられているのです。
しかも
「経済が衰退しながらの人手不足」
「富の再分配から痛みの再分配への転換」
「さけられないコンパクトシティ化」
など、目を背けたくなるような話題が
いくつも登場します。
しかし、本書に示されている
これらの「事実」を冷静に受け止め、
一人一人がしっかりと問題意識を
持たなくてはならないのでしょう。
この、地方消滅という「不都合な真実」を
真っ正面から受け止めることこそ、
本書の第一の味わいどころなのです。
しっかりと味わいましょう。
本書の味わいどころ②
新しい発想で危機に臨む姿勢
しかし本書は
不安をあおっているだけでは
ありません。
その不都合な真実」を受け止めた先に
見えてくる
「問題解決のための処方箋」にも
言及されているのです。
ここでも新しい視点が
いくつも登場します。
「G(global)型大学と
L(local)型大学の区分け」、
「安易な新産業導入の否定」、
「企業のホワイト化の推進」、
「大学での職業教育の導入」など、
成長の時代につくられた
古い意識から脱却し、
収縮の時代にふさわしい戦略が
必要であるということなのです。
この、新しい発想で危機に臨む姿勢を
意識することこそ、本書の
第二の味わいどころとなるのです。
じっくりと味わいましょう。
本書の味わいどころ③
地方発の日本再生という希望
それと同時に、衰退していくのを
座して待つのではなく、
地方から日本を再生していこうという
大胆な提案が
いくつもなされているのです。
それは「人口を増やそう」だとか
「町を発展させよう」という、
成長の時代をなぞるのではなく、
地方でしかできないことに取り組み、
縮小しながらも住みよい地域づくりを
していこうというものなのです。
日本そのものを真の意味で
豊かな国にするために、
地方からイノベーションを
仕掛けていこうという
二人の著者たちの意見には
説得力があります。
この、地方発の日本再生という希望を
信じることこそ、本書の最大の
味わいどころとなっているのです。
たっぷりと味わいましょう。
前作から十数年が経過しましたが、
いまだに地方創生はかけ声だけで
終わっている感があります。
取り返しのつかないところまでこないと
動かない(動けない)のは
日本の政治の常ですが、
本書によって一人でも多く
危機意識を持つ人たちが増えることを
期待するしかないのでしょう。
未読の方、ぜひご一読を。
(2025.11.19)
〔関連記事:前作「地方消滅」〕

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〔関連記事:人口減少に関わる本〕
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「未来の年表2」(河合雅司)
「未来の地図帳」(河合雅司)
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