「文房具図鑑」(山本健太郎)

これこそまさに今、日本で問われている学力です

「文房具図鑑」(山本健太郎)いろは出版

これは面白い!
思わず唸ってしまいました。
普段使っている文房具が満載。
上手くもあり
そうでないようにも見える
絶妙なイラストと、
手書きのコメント。
そのコメントが
実際に使ってみないと
わからないことまで
詳細かつ辛口かつ的確に
書かれてあります。
これは面白い、面白すぎます!

で、ページをペラペラ
めくっていた手を止めて、
最初のページから読み始めると…、
なんと小学校6年生の子どもが
1年間かけて手書きで描いた本だった!
衝撃的でした。
さっそく調べてみると、
ネットには本書の記事が
たくさんありました。
TVでもいくつかの番組で
取り上げられたとか。
全然知りませんでした。
私はやっぱり流行に疎い!

多分、
このくらいのイラストを
描ける子どもは、
今の時代、小学生でも
少なからずいるのではないかと
思うのです。

しかし、
自分の大好きな文房具に焦点化し、
それを毎日コツコツと、
1年間かけて1冊のノートにまとめる、
その根気と集中力。

しかも文房具一つ一つについて、
見ただけではなく、
実際に使い込んでみて、
その長所短所を
正確に文章で表すことができる、
この分析力、観察力、表現力。

加えてカタログ的に
全ページ一様に並べるのではなく、
それぞれに工夫が凝らされ、
飽きることのない構成力。

さらに表紙の
「文具のいい所から悪い所まで最強解説」、
裏表紙の「定価3兆円+税」など、
気の利きすぎているキャッチコピーと
ツボを押さえたユーモア・センス。

すべてにおいて小学生離れしています。

これこそまさに今、
日本の小中学校で追い求めている
「探究力」であり、
その習得のために
日夜血眼になっている
「思考力・表現力・判断力」であり、
昨今その低下が
話題となっている「読解力」であり、
日本人が苦手としている
「自己PR力」なのだと思うのです。

子どもたちにぜひ読んでほしい1冊です。
小学生、中学生のみなさん、
みなさんの通う学校の図書館、
あるいはみなさんの住む
地域の図書館で、
ぜひ本書を探してみてください。
いや、大人のアナタもぜひ。
目から鱗の1冊です。
えっ、以前から知っていて、
すでに読んだ?
すみませんでした。

※本書は文庫本でも新書本でもなく、
 ましてや私が
 所有する本でもありません。
 当ブログのポリシーから
 はずれる一品なのですが、
 あまりの素晴らしさゆえ、
 取り上げました。
※勤務校の新刊書棚にありました。
 うちの学校司書のセンスはすごい。

(2019.3.23)

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