「おすが」(竹田真砂子)
ついつい感情移入、それも深入りしてしまいました 「おすが」(竹田真砂子) (「牛込御門余時」)集英社文庫 妻を失った孤老の武士・高岡斜嶺は、二年前から国元を離れ江戸詰となっていた。唯一の楽しみはおすがを見るために茶屋へ...
ついつい感情移入、それも深入りしてしまいました 「おすが」(竹田真砂子) (「牛込御門余時」)集英社文庫 妻を失った孤老の武士・高岡斜嶺は、二年前から国元を離れ江戸詰となっていた。唯一の楽しみはおすがを見るために茶屋へ...
新しい衣装をまとった千姫像 「千姫と乳酪」(竹田真砂子) (「牛込御門余時」)集英社文庫 牛込御門近くに立つ吉田御殿。そこで暮らす徳川秀忠の娘・千姫が、夜な夜な男を玩び、殺害するという噂が立っていた。世に言う「千姫君御乱...
千姫もまた「美しくも強い」女性なのです 「千姫桜」(有吉佐和子) (「ほむら」)文春文庫 前回はお園と千姫の 「静かで激しい女の戦い」を 取り上げました。 実は戦いも物語も そこで終わりではありません。 退去後の二人の...
静かで激しい女の戦い 「千姫桜」(有吉佐和子) (「ほむら」)文春文庫 残虐と噂される千姫に 召し出された女歌舞伎一行。 一座を率いるお園は、 元武士の笛吹き・四郎と恋仲だが、 四郎が千姫の目に 止まるのではないかと心...
若き日の横溝の憧れと野心が見え隠れする 「川越雄作の不思議な旅館」(横溝正史) (「山名耕作の不思議な生活」)角川文庫 忘れかけていた友人・川越雄作から届いた書状には、「近き将来、君は僕よりの奇妙な招待状を受け取るだろう...
いい男といい女の素晴らしい巡り会い 「青い外套を着た女」(横溝正史)角川文庫 フランスから帰朝したばかりの 土岐陽三は、 手渡された宣伝ビラの裏側に 「青い外套を着た女に会え」という 伝文を見つける。 示されていた場所に...
レトロ感どころか未来を先読みしたような先見性 「まぼろしのペンフレンド」(眉村卓)角川文庫 中1の明彦に 突然舞い込んだ奇妙な手紙。 差出人・本郷令子という名には まったく心当たりがない。 そこには「あなたのすべてを 詳...
老いとは自分の中に時間が降り積もること 「海うそ」(梨木香歩)岩波現代文庫 前回取り上げた本作品、 「破壊による喪失」が テーマであると述べました。 作者・梨木は、しかし、 失われていくことを 嘆き悲しんでばかりいるので...
描かれているのは、二つの「破壊による喪失」 「海うそ」(梨木香歩)岩波現代文庫 昭和の初め、 人文地理学の研究者・秋野は、 かつて修験道の霊山があった 南九州の遅島へ赴く。 その島の豊かな自然、 歴史の闇にかき消された ...